氷点下ではブレーキが効きにくくなることも

 雪の中、せっかく順調に運転していても、何らかのアクシデントで一度停まってしまうと係員が現場に行って対応して、その間にまた雪が積もって列車が動けなくなり、除雪している間にも雪が降り続けて……と、悪循環。

 越美北線は非電化だが、電化路線では架線からパンタグラフを通じて電力を得る。ところが、降雪時には、雪の重みでパンタグラフが下がってしまい、電力を得られなくなるというトラブルも起こりうる。また、氷点下になればレールがまるでアイスバーンのようになってブレーキが効きにくくなることも珍しくないという。

 雪国の雪の季節の鉄道は、どこまでいっても雪との戦いなのだ。小林さんも、駅長として部下の管理や駅の日常業務を続けながら、そこに雪との戦いが加わる。大雪が予想されると、休日でも出勤することが珍しくないという。それも、深夜の除雪作業だったり。

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社員による除雪(JR西日本提供)

「ホームに50cmも積もっていたら、降りようと思ったお客さまも降りられない。いくらご利用の少ない駅でも、そこが駅であり、列車が走っている以上はしっかりと。そもそも北陸に住んでいる人は、鉄道に限らずみんな雪と戦っているんですからね」

 ちなみに、大動脈の北陸新幹線。こちらになると、ほとんど雪に悩まされることはないという。雪を溶かす設備から降った雪を溜めておく設備まで、あらゆる最新鋭の設備が整っている。おかげで、警報級の大雪が予想されていても、事前に運休するようなことはほとんどない。雪が降ることを前提にすべてが設計されているのだ。

「新幹線はまったく別世界ですね。私は2025年10月に越前大野駅に赴任したのですが、それ以前は福井駅で新幹線の業務をしていました。なので、最新の設備からそれとは正反対のところに。越美北線は、ポイントの切り替えも係員が手でやっているようなところですから。でも、これはこれで人が動かしているという実感もあるんですよ」

 

 ともあれ、雪国の鉄道がそんじょそこらの降雪ではビクともしないのは、こうした雪対策の経験と備えがあるからだ。日常を守るために、今日も今日とて鉄道員たちは雪と戦い続けているのである——。

撮影=鼠入昌史

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