「タミフルを飲まないと治らない」と思っている人もいますが、基本は自然治癒する疾患。日本がこれらの薬を世界で一番使っているとの指摘もあります。そうなると危惧されるのが「耐性ウイルス」の発生です。タミフルに耐性をもつウイルスが蔓延してしまうと、重症化リスクのある人たちを救命することが困難となってしまうでしょう。
もうひとつ心配なのが、タミフルを使ったことで早期に症状が緩和した人が、まだ感染力が残った状態で学校や会社に行ってしまうことです。じっさいの医療現場でも、こういった患者さんはたびたび経験します。
こうした個人の行動が、周囲に感染を広げて大流行につながるリスクを引き起こすのです。医療機関では、感染後の行動について十分説明しますが、個人で診断と治療がおこなわれるようになってしまうと、インフルエンザにかんする正しい理解が行き届かなくなり、こうした思わぬ原因による流行拡大を生じさせかねません。
検査・薬の全額自己負担化で起こること
3.経済力によって医療格差が生じる危険
インフルエンザの検査やタミフルなどの抗ウイルス剤が市販化されることによる「社会的な副作用」にはさらに重要かつ心配なものがあります。
それは経済力によって医療格差が拡大する懸念です。
発熱者の治療の「主たる現場」が医療機関から街場のドラッグストアに移行していくと、これまで保険診療によって抑えられていた個人の負担が大きく増えることになります。
もちろん収入が多く生活に余裕のある人であれば、なんら心配はないでしょう。しかし、現在でも窓口での支払いに負担を感じている人にとっては、「タミフルの市販化」はインフルエンザに感染してもあきらめるしかない、ということにもなりかねません。検査も薬も全額自己負担になるからです。
先述したように「寝ていれば治る」人もいますが、重症化リスクを抱えていない人でも、脳症をおこしたり脱水になったりして全身状態が急変することもありえます。