「自分で診断・治療できる」はプラスなのか

インフルエンザといえば、突然の発熱と関節痛、喉の痛みや咳、鼻汁といった症状が特徴的です。5年前の新型コロナ上陸直前に上梓した拙著『病気は社会が引き起こす インフルエンザ大流行のワケ』(角川新書)では、こうした特徴的な症状が冬場に出たら、それは検査せずともインフルエンザと診断してもかまわない、との解説をおこないました。

じっさいの臨床現場でも「インフルエンザの診断ならば皆勤賞がまだ狙えるので」「会社に出す診断書が必要なので」といった、どうしても「確証」がほしいという人以外の、臨床症状からインフルエンザとして矛盾のない人については、検査なしでインフルエンザと診断してもなんら問題は生じませんでした。

しかし新型コロナが上陸してから、医療現場は一変しました。インフルエンザと新型コロナは臨床症状が似ており、診察所見でいずれかを見きわめることが非常に困難なため、診断するには検査が必要になってしまったのです。

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そして医療機関ではコロナ禍以降、「発熱者にはまず検査」というやり方がすっかり定着。それと同時にインフルエンザや新型コロナの「診断キット」の市販化も急速に進みました。

つまり今まで医療機関でないと峻別できなかった感染症が、医療機関にかかることなく自宅で診断することが可能となってきたともいえます。そうした状況で今回「タミフル市販化」の動きが出てきたのです。

さて、こうした「インフルエンザ治療」が自分でできるようになることは、私たちにとって朗報と言えるでしょうか?

「わざわざ混んでいる医療機関に行かなくても自分で診断できて治療薬も買えるならばありがたい」という人にとっては朗報と感じるかもしれません。

しかし、もし「タミフル市販化」が実現すると、こうした利便性に期待する人をも巻き込んで、思いもよらない「副作用」が生じかねません。そこで本稿では「タミフル市販化の副作用」について述べてみたいと思います。