なかなか撮影するタイミングがなかったが…
5年前からルイス・クーが『私立探偵』の企画を気に入ってくれて、出演も決まったが、なかなか映画を撮影するタイミングがなかった。マレーシアの助成金が決まったことで、マレーシアで撮影することになった。メインスタッフは香港から連れて行ったが、その他のスタッフはほとんど現地の人だった。慣れない環境で、知らないスタッフたちと準備して撮影するのは大変だったが、とても新鮮な体験だった。
『私立探偵』ではチョウ・マンユーが脚本家だけでなく共同監督も務めている。作業としては2人で脚本についてさまざまに議論し、現場では2人で俳優の代わりにリハーサルをする。その後、チョウから俳優に芝居を説明してもらい、僕は撮影監督たちとカメラをどこに置くべきか話し合う。そういう段取りで分業しながら進めた。
共同監督の体験は良かった。1人で監督したほうが効率が良いかもしれないが、今回はお互いが刺激し合えたことが映画の出来にも反映された。現場では毎日たくさんのトラブルが起きるが、それらを彼と一緒に解決することが実は一番面白かった。
香港映画の問題は「資金がなかなか集められないこと」
最近、香港の新人監督はアート系や社会を反映する映画を好む傾向がある。一方で、助監督出身の僕らはエンタメ性の高いジャンル映画を目指すことが多い。これはとても喜ばしい現象で、今の香港映画の多様性を示していると思う。僕らが生きているこの時代は、どんな題材でもどんなジャンルでも、必ず今の社会状況を反映せざるを得ない。上の世代も若い世代も、それぞれ時代を表現する作品を作ろうと頑張っている。今こそ、香港映画の最も面白い時期ではないかと感じている。
問題は、資金がなかなか集められないことだ。この点で、政府の助成金はとても役に立つ。最近の助成金制度も多様化していて、新人監督だけではなく、ベテラン監督、例えばピーター・チャンも申し込んでいる。今企画中の『九龍城砦』のドラマシリーズも、この助成金制度を利用している。それ以外にも、海外の助成金制度も積極的に利用すべきだと思う。例えば『私立探偵』はマレーシアの助成金で撮影したし、これからは台湾、シンガポールの助成金も活用してアジア映画を盛り上げたいと考えている。