「合作は間違いなく一つの方向だと思う」
大陸あるいは一つの国の資金だけに頼って映画を作ることは、もう不可能になったと思う。香港映画が生き延びるために、合作は間違いなく一つの方向だと思う。例えば政府の助成金が決まれば、総制作費の3割が確保され、残りの資金も調達しやすくなる。『九龍城砦』のように海外マーケットで成功すれば、その実績が香港の投資者にも自信を与えることになる。
これから台湾で撮影する予定の映画が2本ある。一つは中国の推理小説を原作とする映画で、社会正義のために、物理教師が物理の知識を活かして官僚を殺し、復讐する話だ。もう一つは実話を元にした映画で、生命保険詐欺をするため、ある女性が夫と共謀して自分の両親を殺した話だ。この物語を通じて、その夫婦の関係と愛情を描こうとしている。エンタメ映画出身の監督だが、文芸映画のほうが好きでもあるので、これからはジャンル映画の形を取りながら、アート系あるいは文芸映画を目指そうとしている。ジョニー・トーのように、映画の中に作家性やテーマ、「思想」を入れたい。
どんな映画を作っても、映画の核心を掴めるよう心掛けている。これはソイ・チェン、そしてその師匠であるジョニー・トーの影響に違いない。最近、ジョニー・トーの銀河映像から新しいオファーを受けた。内容はまだ秘密で言えないが、彼からとても難しい課題を与えられた。すでに3つの物語を書いてプレゼンしたが、全部ダメ出しされた。脚本づくりに誰よりも厳しい彼を納得させるために、今でも毎日物語を考えながらドキドキしている。
ジョナサン・リー 1979年、香港生まれ。2002年『男人四十』で製作助手を務め、その後は助監督として様々な作品に関わる。2017年『狂獣 欲望の海域』で監督デビュー。2024年『第八の容疑者』で第30回香港映画評論家協会賞最優秀監督賞を受賞した。
リム・カーワイ 映画監督。マレーシア出身、大阪に拠点を置く。幻のデビュー作『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』デジタル・リマスター版が上映中。
『私立探偵』
若い女性が残虐に殺害される連続殺人事件に巻き込まれた、探偵の男。次なる犠牲者を食い止めるために、命を懸けて真相解明に挑む! ルイス・クー主演のクライムサスペンス。 監督:ジョナサン・リー、チョウ・マンユー/出演:ルイス・クー、クリッシー・チャウ、リウ・グァンティン/2025年/香港/99分
『第八の容疑者』
定年を迎えた刑事が偶然目にしたニュース映像に、21年前の強盗殺人事件の容疑者にそっくりな男を見つけた。90年代、中国で実際に起きた事件を基にした重厚なサスペンス。第25回上海国際映画祭最優秀主演男優賞(ダーポン)受賞。 監督:ジョナサン・リー/出演:ダーポン、ラム・カートン/2023年/中国/112分/2025年12月27日、28日、OSAKAシネマスケープ2025で上映予定
【ジョナサン・リーが師事した香港の映画監督たち】
ツイ・ハーク 1950年生まれ。『蜀山奇傳 天空の剣』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズなど。
リンゴ・ラム 1955年生まれ。『友は風の彼方に』『ツイン・ドラゴン』など。 ジョニー・トー 1955年生まれ。『ザ・ミッション 非情の掟』『エグザイル/絆』など。
イー・トンシン 1957年生まれ。『夢翔る人/色情男女』『新宿インシデント』など。
アンドリュー・ラウ 1960年生まれ。『欲望の街』シリーズ、『インファナル・アフェア』シリーズなど。
アラン・マック 1965年生まれ。『インファナル・アフェア』シリーズ、『盗聴犯』シリーズなど。
ソイ・チェン 1972年生まれ。『マッド・フェイト 狂運』『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』など。