記者会見で恒久減税を示唆したと受け取られた発言は、その後のテレビ番組で追及されてトーンダウンし、「首相迷走」と批判を浴びた。勝利確実と言われた自民党は厳しい審判を受けた。

首相討論会欠席を聞いて、3年前の春を思い出した

 こうした歴史を考えると今回の高市首相、消費税への沈黙だけでなく、「円安ホクホク」発言が海外や市場から注目されている。発言の真意や説明を、選挙期間中だからこそ、メディアは公的な場で求め続けるべきだったのではないか?

 しかし首相は、2月1日のNHK討論会を欠席した。体調不良であれば仕方がないとしても、不思議だったのは、討論会の再設定を求める声が大きくならなかったことだ。

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 首相討論会欠席のニュースを聞いて、私は3年前の春を思い出した。奈良県知事選である。当時の報道を振り返ると、この選挙で痛手を被ったのが、高市早苗・経済安全保障相だったとされている。高市氏が擁立した候補が敗れ、お膝元で選挙基盤を築けなかったためだ。

 高市氏は「県連会長でありながら、国会答弁に追われた上、高熱が続き、張り付きで応援することができませんでした」とおわびするコメントを出した。

 このとき国会では、放送法を巡る答弁が大きな問題になっていた。3月の参院予算委員会。放送法の政治的公平をめぐる行政文書について、高市氏は「捏造」と断じ、「信用できないならもう質問しないでほしい」と答弁した。自民党内からも批判が出て、発言は撤回に追い込まれた。

 奈良県知事選の告示後、最初の週末。高市氏は奈良入りを急きょ取りやめ、現地に入ったのは選挙戦最終盤の金曜日だけだった。私はその現場を見ていた。

 屋内の集会で登場した高市氏は、15分ほどスピーチをしたが、その内容は応援演説というより、それまでの報道への反論を並べた「持論の披露」に近かった。

 興味深いコラムがある。当時、政治ジャーナリストの田崎史郎氏はこう書いている。