昭和47年、東京・新橋の有名ホテルの一室で、37歳の女性歯科医が全裸遺体となって発見された事件。開業医として成功し、家事や子供の世話をする夫にも恵まれた彼女はなぜ殺されたのか?
事件のその後を、鉄人社の新刊『高度経済成長期の日本で起きた37の怖い事件』よりお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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被害者女性の来歴
被害者の井上さん(仮名)は1935年(昭和15年)、熊本県天草地方で石灰製造を生業とする比較的裕福な家庭で生まれた。
1953年3月にカトリック系の女子校である同県八代市の八代白百合学園高等学校を卒業後、福岡市の九州歯科大学に入学。真面目に学業をこなす傍ら学生委員を務めていた男子学生と交際する。
歯科医師免許を取得後の1961年、天草諸島の御所浦島にある市立診療所に勤務。2年後の1963年、ダンスホールで知り合ったトラック運転手の男性と結婚した。
夫は仕事を辞め歯科技工士の見習いとして妻の仕事を手伝い、子供にも(一男一女)に恵まれたうえ、事件前年の1971年には八代市に念願だった井上歯科医院を開業する。
開業医として独立した妻と、それを支え家事や子供の世話をする夫。妻が家を守り、夫が外で働くことが当たり前だったこの時代、2人は新しい夫婦の形を実現していたかのように思えるが、井上さんの評判は決して良いものではなかった。
