東京・新橋の有名ホテルの一室で、37歳の女性歯科医が全裸遺体となって発見された。戻った直後の客室で襲われ、激しい悲鳴が上がっていたにもかかわらず、周囲は「痴話喧嘩」と思い込み通報はなかった。
いったい誰が彼女を殺したのか? 昭和47年に起きた事件を、鉄人社の新刊『高度経済成長期の日本で起きた37の怖い事件』よりお届けする。(全2回の1回目/続きを読む)
◆◆◆
「助けて!」
1972年(昭和47年)6月26日午前9時、東京都港区新橋のホテルの一室で熊本県の歯科医、井上スミ子さん(仮名、当時37歳)の殺害遺体が発見された。遺体は全裸で、当時流行りの黄色い胸当てパンタロン、ブラカップスリップ、ショーツなどが被せてあった。
司法解剖の結果、死因は手か幅の広い帯のようなもので首を絞められたうえでの窒息死で、胃の内容物から食後1~2時間、死亡推定時刻は20時ごろと判明。
ベッドもシャワールームも使われた形跡はなく、井上さんが部屋に戻った直後に殺害され、その後姦淫されていたこと、さらには、犯行推定時刻に隣の部屋と真下の部屋にいた宿泊客が「助けて!」という女性の叫び声を聞いていたものの、単なる痴話喧嘩と思い通報していなかったこともわかった。
