捜査線上に浮かんだ「第3の男」

 やがて捜査線上に東京に住む1人の男性が浮かぶ。井上さんの出身校、九州歯科大学の2年先輩で、彼女と3年前から不倫関係にあった歯科医だ。

 今回も井上さんが上京した24日夕方から25日の朝方にかけて密会しており、このとき、彼女は一緒に上京した医師2人に「親戚の家に行く」と嘘をついていたそうだ。

写真はイメージ ©getty

 痴情のもつれで、この歯科医が犯行に及んだものと思われたが、鑑定の結果、これまた血液型や指紋が一致しないことが判明。

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 捜査に行き詰まった警察は彼女の行きつけだったダンスホールの男性客や講習会のメンバー、九州歯科大学の同窓生などを徹底的に調べ上げたものの有力な手がかりは掴めなかった。

 美人女性歯科医、不倫。夜遊び。

 事件が週刊誌の恰好のネタとして派手に報道されるなか、警察は本事件から2ヶ月半ほど後の1972年9月4日23時半ごろ、同じホテルで女性宿泊客が部屋に入ろうとしたところ、つけてきた男に鍵をひったくられそうになった事件にも着目。

 5日午前1時ごろに同じ男の声で女性の部屋に「一緒に食事をしよう」と内線電話がかかっていたことから、その男も宿泊客と推定し井上さんの事件との関連を疑ったが、結局、男を突き止めるまでには至らなかった。