山崎 私は活字ばかりで漫画は読み慣れていないのですが、鈴ノ木先生の竜馬には夢中になりました。すごく色気があって素敵ですし、とくに魅力的な眼つきに惹かれました。線の勢いや躍動感がすさまじいですよね。

鈴ノ木 線については、井上雄彦先生へのリスペクトもあって、最初は『バガボンド』みたいに筆だけで描こうとしたんです。ところが、実際にやってみたらめちゃくちゃ時間はかかるし、精神的にもたない。「井上先生は変態だな」と痛感しました(笑)。いまはペンと筆を使い分けていますが、カバーの絵は背景も含めてすべて筆。カラーインクをつけて一発で描きます。

『竜馬がゆく 1』カバー

山崎 躍動感あふれる場面もあれば、静寂の「間」が伝わってくる場面もあって、小説を読んで自分で想像するのと違って没入感がありました。

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 北辰一刀流の道場で描かれる剣道のシーンもすごかった。私が通った中高一貫校は剣道の強豪校で、練習試合などを観戦していましたから、竜馬たちの技や動きがリアルだなと感心しました。鈴ノ木先生は剣道のご経験があるのですか?

鈴ノ木 まったくの未経験です(笑)。イメージ通りの資料が見つからないと、構えをつくって自撮りしたり、ポーズ人形で確認したり。スタッフに剣道経験者がいて、「左右の手が逆です」って指摘されて描き直したこともあります。

竜馬と桂小五郎の剣術試合(『竜馬がゆく 6』より)