山崎 漫画化にあたって、竜馬のどこが私たちに一番刺さっていると思いましたか?
鈴ノ木 うーん……まず行動力ですかね。
山崎 やっぱりそうですよね。ふつうやらないよって動き方してますよね。
鈴ノ木 ミーハーな部分もありますね。流行りものが好きだし、すごい田舎者の感じ、ピュアな感じは魅力です。10代が求めるギャングエイジ的な憧れの青年像みたいところ。描くと決めたあと、司馬先生のインタビュー集やエッセイを読みあさったんですね。「何を大切にしていたんだろう」「どんな竜馬像を求めたんだろう」って。
司馬さんが「大切にしていたもの」
──司馬さんのエッセイなどからすくい取った「大切にしていたもの」とは何でしょうか?
鈴ノ木 小学校の教科書に載った『二十一世紀に生きる君たちへ」という子ども向けのエッセイがあって、「いたわり」という感情の大切さを説いています。読んだときに「あ、いたわりの大切さが伝わるように描こう」と思いました。原作の竜馬には「男らしさ」も感じるけど、僕にはない。バランスのいい読者が「おもしろいな」と思える作品が描けたらいいなと思いました。
山崎 原作にないテーマですね。幼い竜馬にお母さんが大切だと教える場面があって、初恋の人であるお田鶴さんも「いたわり」について語っています。
鈴ノ木 竜馬のまわりには魅力的な女性が何人も登場しますけど、若い頃の竜馬が一番好きなのはお田鶴様だと僕は思っているんです。たぶん原作の愛読者にも、お田鶴様が好きな人は多いでしょう。竜馬には早くに亡くなったお母さんと重なるわけです。ただ、竜馬はちょっとモテすぎ(笑)。
山崎 坂本龍馬が「人たらし」といわれるのは、『竜馬がゆく』でモテすぎるからといっても過言ではないでしょう。他に気になったのは、土佐で少し年上の幼馴染だった武市半平太。登場したときは、「顔、激似!」と思いました。私は歴史上の人物を教科書の写真で覚えていたので。
鈴ノ木 本当ですか、よかった(笑)。
