なぜ多額の現金が? 金塊ビジネスのおぞましい実態
「A氏は日本語、中国語、英語が堪能で、上野で被害に遭った現金運搬役の男女4人をリクルートするなど、重要な役割を担っていた。今回のメンバーの中には、大麻の営利目的販売に関わった容疑で暴力団組員と共に逮捕された経歴を持つ者や、関西の準暴力団組織の関係者もいます」(同前)
A氏の携帯に電話を掛けたが出ず、密輸ビジネスについてLINEで質問を送ると「自分はゴールドに関する事業をやっていますが、密輸に直接関わってはいません」と回答を寄せた。
「日本国内に入ってきたゴールドを預かって販売代行をしています。ゴールドを販売する際、古物商の許認可など法人で契約する必要があり、納品した商品の代金を受け取るための法人口座が必要となります。基本的には法人口座付きの企業を買収して使用するのがメインとなります」(A氏)
そして、“金塊ビジネス”のスキームを次のように明かすのだ。
「(上野で強盗された円は)『貴金属店から預かった』と報じられましたが、正確にはゴールドを貴金属業者に販売した際に振り込まれた商品代金。入れ込みの業者(依頼元の業者)は基本的に香港で次のゴールドの仕入れをされるので、自分たちは香港で日本円や外貨を香港ドルに両替して、彼らに香港でお戻しします。彼らはその香港ドルを次のゴールドの仕入れに使用し、そのゴールドを日本に入れて、貴金属業者に販売するというサイクルです」(同前)
襲撃されるリスクは常に伴う
さらに、A氏は事件当日の状況を振り返る。
「今回盗られたスーツケースに入っていたお金は日本円。ドルやユーロなどの外貨は日本円の数倍の価値があるのでリュックに入れていました。2個のリュックは、どうにか守って盗られませんでした」
だが、多額の現金を海外に持ち出す手法は、常に身の危険が伴う。
「羽田の事件の社長は、去年11月20日にも中央区築地の路上に停めた車から約1億円相当の外貨を盗まれる被害に遭っていた」(前出・捜査関係者)