暴力団との接点、再犯へ

 さらにBは、給料の未払いトラブルを母親に相談したところ、母親が紹介した人物が暴力団組員だった。

「そこで暴力団と接点を持ち、仕事にも行かなくなって、ずるずると暴力団の世界に入り込んでいきました。そこから彼の転落が始まったのです」

 2004年、Bは逮捕監禁致傷容疑で再び逮捕される。山﨑氏が再犯について尋ねると、Bは辻褄の合わないことを主張した。好きな女性を誰かが取ろうとしている、再犯事件の被害者は暴力団の準構成員だ、といった内容だ。

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「彼の犯行に至る動機は、非常に独特な世界観に基づいているというか、理屈に合わないことにまっすぐ突き進んでいるような印象を受けました」

 山﨑氏は、Bが精神的な歪みや妄想に支配されていたのではないかと見ている。

「トイレで倒れて死んでいました」

 2024年7月、山﨑氏は突然の電話を受けた。Bの義理の兄からだった。

「『ちなみにBは死にました』と突然一言告げられたのです」

 当時まだ50代前半。同い年の山﨑氏にとって、それは衝撃的な知らせだった。続けて義兄が口にした言葉は、さらに衝撃的だった。

 

「トイレで倒れて死んでいました」

 山﨑氏はその後の取材で、Bの死の詳細を確認していく。Bは吐いたもので喉を詰まらせ、窒息死していた。変死扱いだった。

「ある種の業(ごう)のようなものを感じました。彼が犯した罪の大きさに、彼自身が押しつぶされるように命を落としたのではないか」

 本来であれば、仕事をして税金を納め、被害者遺族への賠償金を貯め、贖罪の日々を送るべきだった。だが、Bはそれとは真逆の生活を送り、トイレで孤独に死んでいった。

「彼が犯した罪の大きさと、彼を更生に導く社会の支援が非常に乏しかったことの裏返しでもあると感じています。彼の死は、この事件そのものを象徴しているようにも思えるのです」

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