〈あらすじ〉

 ノルウェーのオスロで生まれ育ったノーラ・ボルグ(レナーテ・レインスヴェ)と妹のアグネス(インガ・イブスドッテル・リッレオース)。ノーラは舞台俳優として活躍。一方アグネスは夫と9歳の息子と穏やかな生活を送っている。そんな中、病床にあった母が亡くなり、離婚以来音信不通だった父のグスタヴ(ステラン・スカルスガルド)が帰ってくる。

 著名な映画監督である彼の目的は、自身にとって15年ぶりの新作映画の主演をノーラに依頼すること。しかし家族を捨てた父を今も許せないノーラは、「お前の作品だ」と差し出された脚本を受け取ろうともしない。するとグスタヴは彼を敬愛するアメリカの人気俳優レイチェル(エル・ファニング)を主役に抜擢。かつてノーラたち姉妹が暮らし、またグスタヴも亡き母との思い出が詰まったオスロの家を舞台に、撮影の準備が進められていく。

〈見どころ〉

 見事な脚本!手がけたのは、ヨアキム・トリアー監督の長編劇映画6本すべての脚本を共同執筆したエスキル・フォクト。

映画監督の父が娘のために書いた 代えがたい脚本をめぐる物語
『わたしは最悪。』のヨアキム・トリアー監督がレナーテ・レインスヴェを再び主演に迎え、複雑な父娘の関係を描いた家族ドラマ。昨年のカンヌ国際映画祭で19分間に及ぶスタンディングオベーションを浴びてグランプリを受賞。本年のアカデミー賞でも作品賞、主演女優賞ほか8部門9ノミネートの話題作。

©2025 MER FILM/EYE EYE PICTURES/LUMEN/MK PRODUCTIONS/ZENTROPA ENTERTAINMENTS5 APS/ZENTROPA SWEDEN AB/KOMPLIZEN FILM/BRITISH BROADCASTING CORPORATION/ARTE FRANCE CINÉMA/FILM I VÄST/OSLO FILM FUND/MEDIEFONDET ZEFYR/ZDF/ARTE
  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆端正でやや辛気臭い家族ドラマかと思いきや、語りの運動神経が発達しているのに驚いた。テンポやトーンの切り替えが機敏で迅速。S・スカルスガルドの芝居も渋い。敵役の光る映画にハズレなし、という鉄則が証明されている。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★★最も煩わしく苦手な家族間の感傷的な縛りを感じるが、見終わった後には優しくハグされたような温かさに包まれた。居場所のなさ、逃げ場のない孤独から命を絶つことで解放される、死に手招きされるような怖さがあるのに。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★★バランスの美徳が極まった一本。ベルイマン映画の影が濃く差すが、巨匠の冷徹さを現代的な優しさへと変換。Netflixの実名登場も芸術と産業の緊張関係をより鮮明にする。ラビ・シフレの名曲がもたらす爽やかな風通しも見事。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆素晴らしい演技とトラウマの入れ子細工的な脚本の偉業。気になったのが血統から逃れられぬあの人々の“家”。フレーム内に存在しながら涙と台詞で抽象化され概念を消している。あの空間からもカタルシスを感じたかった。

  • 今月のゲスト
    岡本真帆(歌人)

    ★★★★☆生きることは難しく、思い通りにならない。その「ままならなさ」の中で、大切なものと自分なりに向き合おうとした父の脚本。不器用にぶつかり合う父娘に、生の感情を見た。光と影が美しく、目の演技が心の機微を語る。
     

    おかもとまほ/1989年生まれ、高知県出身。東京と高知の二拠点生活を送りながら、歌人、作家として活躍中。著書に、歌集『水上バス浅草行き』『あかるい花束』、エッセイ集『落雷と祝福』などがある。

  • 最高!今すぐ劇場へ!★★★★★
  • おすすめできます♪★★★★☆
  • 見て損はない。★★★☆☆
  • 私にはハマりませんでした。★★☆☆☆
  • うーん……。★☆☆☆☆
「センチメンタル・バリュー」とは“深い思い入れのために代えがたいもの”という意味。これを彷彿とする親子や姉妹の関係、芸術家としての衝動などのテーマが複合的に描かれる。
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『センチメンタル・バリュー』
監督:ヨアキム・トリアー
2025年/ノルウェー/原題:Affeksjonsverdi(英題:SENTIMENTAL VALUE)/133分
2月20日(金)~
https://gaga.ne.jp/sentvalue_NOROSHI/