〈あらすじ〉
ノルウェーのオスロで生まれ育ったノーラ・ボルグ(レナーテ・レインスヴェ)と妹のアグネス(インガ・イブスドッテル・リッレオース)。ノーラは舞台俳優として活躍。一方アグネスは夫と9歳の息子と穏やかな生活を送っている。そんな中、病床にあった母が亡くなり、離婚以来音信不通だった父のグスタヴ(ステラン・スカルスガルド)が帰ってくる。
著名な映画監督である彼の目的は、自身にとって15年ぶりの新作映画の主演をノーラに依頼すること。しかし家族を捨てた父を今も許せないノーラは、「お前の作品だ」と差し出された脚本を受け取ろうともしない。するとグスタヴは彼を敬愛するアメリカの人気俳優レイチェル(エル・ファニング)を主役に抜擢。かつてノーラたち姉妹が暮らし、またグスタヴも亡き母との思い出が詰まったオスロの家を舞台に、撮影の準備が進められていく。
〈見どころ〉
見事な脚本!手がけたのは、ヨアキム・トリアー監督の長編劇映画6本すべての脚本を共同執筆したエスキル・フォクト。
映画監督の父が娘のために書いた 代えがたい脚本をめぐる物語
『わたしは最悪。』のヨアキム・トリアー監督がレナーテ・レインスヴェを再び主演に迎え、複雑な父娘の関係を描いた家族ドラマ。昨年のカンヌ国際映画祭で19分間に及ぶスタンディングオベーションを浴びてグランプリを受賞。本年のアカデミー賞でも作品賞、主演女優賞ほか8部門9ノミネートの話題作。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆端正でやや辛気臭い家族ドラマかと思いきや、語りの運動神経が発達しているのに驚いた。テンポやトーンの切り替えが機敏で迅速。S・スカルスガルドの芝居も渋い。敵役の光る映画にハズレなし、という鉄則が証明されている。
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斎藤綾子(作家)
★★★★★最も煩わしく苦手な家族間の感傷的な縛りを感じるが、見終わった後には優しくハグされたような温かさに包まれた。居場所のなさ、逃げ場のない孤独から命を絶つことで解放される、死に手招きされるような怖さがあるのに。
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森直人(映画評論家)
★★★★★バランスの美徳が極まった一本。ベルイマン映画の影が濃く差すが、巨匠の冷徹さを現代的な優しさへと変換。Netflixの実名登場も芸術と産業の緊張関係をより鮮明にする。ラビ・シフレの名曲がもたらす爽やかな風通しも見事。
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洞口依子(女優)
★★★★☆素晴らしい演技とトラウマの入れ子細工的な脚本の偉業。気になったのが血統から逃れられぬあの人々の“家”。フレーム内に存在しながら涙と台詞で抽象化され概念を消している。あの空間からもカタルシスを感じたかった。
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今月のゲスト
岡本真帆(歌人)★★★★☆生きることは難しく、思い通りにならない。その「ままならなさ」の中で、大切なものと自分なりに向き合おうとした父の脚本。不器用にぶつかり合う父娘に、生の感情を見た。光と影が美しく、目の演技が心の機微を語る。
おかもとまほ/1989年生まれ、高知県出身。東京と高知の二拠点生活を送りながら、歌人、作家として活躍中。著書に、歌集『水上バス浅草行き』『あかるい花束』、エッセイ集『落雷と祝福』などがある。
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『センチメンタル・バリュー』
監督:ヨアキム・トリアー
2025年/ノルウェー/原題:Affeksjonsverdi(英題:SENTIMENTAL VALUE)/133分
2月20日(金)~
https://gaga.ne.jp/sentvalue_NOROSHI/




