82歳で引退、翌年に大往生

昭和37年(1962年)2月20日、鳥井信治郎は死去。享年83。くしくもその約2週間前、ヌードポスターのモデル・松島栄美子が40年前の自分の姿を新聞で発見し名乗り出ていた。信治郎の死を知った松島は往時を懐かしんだという。

信治郎の死後、寿屋はサントリーへと社名を改め、「山崎」「響」「白州」といった銘柄が誕生。「マッサン」放送の年には「シングルモルトウイスキー山崎シェリーカスク2013」が『ウイスキー・バイブル2015』で世界最高のウイスキーに選ばれた。母から受け継いだ無私の精神、本物へのこだわり、そして竹鶴との出会い。信治郎の挑戦は、100年の時を経て実を結んだのである。

田幸 和歌子(たこう・わかこ)
ライター
1973年長野県生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーライターに。ドラマコラム執筆や著名人インタビュー多数。エンタメ、医療、教育の取材も。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など
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