結局、“1人”であることに自分たちも、世間の人たちも慣れるまでには時間がかかり、25歳ぐらいまで試行錯誤が続いたという。姉妹がそれぞれ「三倉茉奈」と「三倉佳奈」という1人の俳優として認知されるようになったのは、2012年に東海テレビの制作、フジテレビ系で放送された昼ドラの2作によってだろう。まず佳奈が『鈴子の恋』で、天才漫才師と謳われながら早世した実在の芸人ミス・ワカナを演じたのに続き、茉奈が『赤い糸の女』で主演を務め、ドロドロの三角関係を演じるなど、キスシーンあり濡れ場ありで大人の俳優へと脱皮を図った。
佳奈の結婚がターニングポイントに
茉奈にとっては、妹の佳奈がこの年、26歳で結婚したこともターニングポイントとなったという。佳奈は夫となった男性と大学時代から交際していたが、仕事を優先してしまい1ヵ月会わないこともあった。それを茉奈から「あんないい人、絶対逃したらアカン!」と説教されたこともあり、自身が予定していたより早く結婚することになる。
茉奈がターニングポイントと言ったのは、自分たちはそれまでずっと双子の子役のイメージが強く、恋愛スキャンダルもなかっただけに、世間の人たちもおそらく成人した女性像と結びつけて考えづらかったのを、佳奈が結婚して覆してくれ、《「マナカナも普通に恋愛してるんだ」とか、「2人は別々の女性なんだ」ということを、結果アピールできた》という意味でだった(前掲、「美ST」)。茉奈個人としても、佳奈の結婚後、1人でバラエティ番組に呼ばれることが増え、そのたびに「茉奈ちゃんはいつ結婚するの?」と愛のあるいじりをされるのが、《佳奈と同じではない、私だけの私で、やっと立つことができたと思え》うれしかったという(同上)。
第2子を出産して復帰した佳奈、保育士資格を取得した茉奈
2人は大学卒業を前に東京のマンションに部屋を借り、実家のある大阪と往復しながら仕事をするようになっていた。結婚により佳奈は夫との新居へ、茉奈も1人暮らしのためそれぞれ引っ越した。
佳奈はその後、女児と男児、2人の子供を儲けている。彼女にとってのターニングポイントは、第2子を出産して2ヵ月後に仕事に復帰した頃だという。それというのも、復帰直後、仕事と育児の狭間でいっぱいいっぱいになり体が持たなくなった経験から、《休める時はちゃんと休む、誰かに頼れるならちゃんと頼る、スケジュールはもっと余裕を持って組むようにする、そういったことにシフトしていくことで、私自身が丸くなったというか、気持ちにゆとりを持てるようになりました》との理由からだ(前掲、『美ST』})。
茉奈は佳奈の子供たちを伯母としてかわいがりながら、2015年には保育士の資格を、筆記と実技の試験に2年がかりで合格し取得している。ドラマデビューしてからも、この仕事をずっと続けられる保証はないと思っており、「もし、ほかの仕事をするなら何だろう」と考えると真っ先に思い浮かんだのが保育士だったという(「ヨミドクター」2018年2月1日配信)。折しもドラマでたまたま保育士の役に起用されたことにも後押しされ、受験を決めた。
その茉奈も2019年、33歳になる直前に結婚した。結婚前には相手の男性も呼ばれて佳奈から三者面談を受けた。このとき佳奈は彼に「茉奈のどこが好きなん? 幸せにできるん?」などとしつこく訊ねたという。佳奈に言わせると、それも茉奈には幸せになってほしいという“親心”からだったとか。


