「やっぱりか~」な昼食タイム
ちょうど昼時だったため昼食をとることになった私たちは、食卓へと向かいます。この日の昼食は、「ドロドロに煮込んだ玄米」、「とろろ」、「お漬物」のみ。ここでも「やっぱりか~~~」と思ったのですが、郷に入っては郷に従え。全員で協力して食事の準備を進め、ありがたく昼食をいただきました。
昼食を素早く済ませ、ゆっくりする時間もないまま午後の修行へ。修行僧の少年の指示に従い、全員でお経のようなものを読みます。ちなみに住職は「外出している」とのことで、この日は再び姿を見せることはありませんでした。
手渡された紙に書かれたお経をくり返し読めども読めども終わらず、読経が終わったのは開始から4時間が経った頃。足がびりびりと痺れて、立ち上がるのが困難だったことを覚えています。
解放感の中、お昼と同じメニューの夕食を取り、シャワーを浴び、写経を終えて、ようやくその日のプログラムを終えました。
ヘロヘロになった私たちは就寝準備を始めたのですが、そのとき事件が起こりました。
絶望、悲しみ、怒り。恐怖のギバギバ布団
押入れから布団を取り出そうとした1人の女性社員が、「ぎゃあ」と声を上げました。それを聞いた私たちは、あわてて全員で押入れ付近へ集まると、驚きの光景を目の当たりにしました。
――布団が黄色いのです。
もともと黄色いデザインの布団だったのであればどんなに良かったことでしょうか。白かった布団が、人間の汗か脂か何なのか、黄ばんでギバギバになっているのです。
見た目がギバギバなだけでなく、布団はカビ臭さ・ホコリ臭さ・皮脂や汗の臭いが混ざったような、複雑な悪臭を放っていました。
おそらく長年洗われていない、悪臭を発するギバッギバの黄色い布団。
今夜の寝床の選択肢は2つ。ギバギバの布団か、4月の山奥の冷え切った空気にさらされた畳での直寝。
絶望、悲しみ、怒り。
私たちは様々な感情を飲み込み、「ギバギバの布団の上に、持参したタオルを敷き詰めて寝る」ことを選びました。春先の山奥は思ったより寒いですからね。
黄ばんだ掛け布団はどうしても使いたくなかったので、タオルを敷いた敷き布団のみで寒さに耐えながらその日は眠りました。