裸足で走って滝行へ
2日目は、起きるなり寺周辺の掃除をするよう指示を受けました。寒い夜を乗り越えて冷え切った体はピシピシと痛み、思うように動かすことができませんでした。
朝食後まもなくして、2日目のプログラムが開始されます。
コンクリートの上を裸足でひたすら走り、1時間ほど経つと今度は山道を歩き、滝行を行いました。春とはいえまだ気温が低く、冷たい滝に打たれるのは想像以上に厳しく辛いものでした。
びしょ濡れのまま寺まで引き返し、着替えを済まして、ようやく最後のプログラムである「住職の説法」が行われます。
「Go●gleさんから、お電話です」
「最近ね、この寺で修行を受けた人が匿名でインターネットで、インチキだとか、悪徳だとか、ありもしない寺の誹謗中傷を書き込んでね、困ってるんですよ」
座っている私たちの前に立つと、住職は突然そう切り出しました。
「だから、Go●gleさんに依頼して、身元を割り出して、訴えようと準備しているところなんですよねぇ」
私たちを見る住職の顔に、不気味な笑みが浮かんでいたのが強く印象に残っています。
するとそのタイミングで部屋に入ってきた修行僧の少年が、電話を片手に、住職にわざとらしく大きな声で話しかけました。
「お電話です。Go●gleさんから、例の件で……」
いやいやいやいやいやいやいや(笑)。ないないないないないないない(笑)。
さすがに私たちも笑ってしまったのですが、おそらくこれが、「脅し」の常套手段なのでしょう。このあとに説法の中で話されたのは、要約すると「悪いことが身にふりかからないように、ここで仏像や数珠を買え」という内容でした。この寺は、研修にやってきた新入社員や一般の人に対して、悪徳な商売をやっていたのです。話に信憑性を持たせるためか、「心霊写真」も見せられました。
そして、「自分が掃除したトイレの便器を舐められますか? 舐められないでしょ? ということは、あなたたちは手抜きをして掃除してるってことなんですよ」みたいな、よく分からない怒り方もされました。