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②恐竜時代末期。サメ類の絶対王者 vs. 超大型爬虫類

 厳密な意味で、現在の「サメ類(新生板鰓類)」が、海洋世界において台頭をはじめたのは、約1億年前から。時代は白亜紀の半ばになっていました。

「恐竜時代」の前には、らせん状の歯を持っていたと考えられるヘリコプリオンというフシギな軟骨魚類も

 白亜紀といえば、陸では恐竜たちが闊歩していた時代です。白亜紀の末期には、「史上最強の陸上動物」と名高いティラノサウルス(Tyrannosaurus)が登場します。巨大なからだをもつ恐竜たちの全盛期。それが白亜紀です。

『ジュラシック・ワールド』で大暴れしたモササウルス

 さて、海です。

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 海においても、恐竜たちと同じ爬虫類に属するグループが、その“勢力”を拡大させようとしていました。

 その爬虫類グループは、「モササウルス類」と呼ばれています。

 モササウルス類は、一昔前までは知る人ぞ知る水棲爬虫類でした。

 しかし、2015年に公開され、本年(2018年)も公開中の『ジュラシック・ワールド』シリーズにおいて、その圧倒的存在感を示し、知名度を大いに向上させることに成功しました(と、筆者は思っていますが、いかがでしょうか?)。

 『ジュラシック・ワールド』シリーズでは、2作続いて冒頭でかなりインパクトのある登場を見せる、“あの水棲動物”こそ、モササウルスです(まだご覧になられていない方はぜひ、作品をご覧ください)。

恐竜時代、海で繁栄した爬虫類“モササウルス”の仲間たち

 もっとも、『ジュラシック・ワールド』シリーズで描かれているモササウルス類の姿は、最新の見解とはいささか姿が異なります。

 映画では、「海のオオトカゲ」然とした姿で、からだをくねらせながら悠然と泳ぐように描かれています。

 しかし、最新の研究ではモササウルス類には発達した尾びれが存在し、その尾びれを使って高速遊泳が可能だったことが指摘されています。

 有り体に書いてしまえば、モササウルス類は作中のものよりも、“より恐ろしい存在”ということができるかもしれません。

 モササウルス類は、大きなものでは全長15m前後と、現在のマッコウクジラ並みの巨体をもち、種によっては、カメのように硬い甲羅を持つ動物でさえも、獲物にしていました。

「最強にして最恐」

 それがモササウルス類だったのです。

海洋生物を噛みまくった「最強にして最恐」のサメ

 さてサメ類は、そんなモササウルス類の強力なライバルとして進化を重ねました。

 この時代、さまざまなサメ類が登場します。代表的な種類として「クレトキシリナ(Cretoxyrhina)」を紹介しておきましょう。

現在のホホジロザメとほぼ同じ全長6mほどのクレトキシリナ。モササウルス類も攻撃したと考えられている 

 クレトキシリナのサイズは現生のホホジロザメとほぼ同じ。姿もホホジロザメとよく似ています。そして、同時代を生きたさまざまな海棲動物の化石にクレトキシリナの歯型が残されており、このサメ類が恐るべき狩人だったことがよくわかります。

 クレトキシリナもまた、「最強にして最恐」と呼ばれる存在だったのです。

 モササウルス類とクレトキシリナに代表されるサメ類は、白亜紀後期の海洋世界で生態系の頂点を争っていました。

「白亜紀末の大量絶滅事件」でもサメは生き残った

 しかし、6600万年前。

 白亜紀末の大量絶滅事件が発生しました。この事件が、強者たちの運命を変えます。

 結論だけを書けば、モササウルス類は滅び、そして、サメ類は生き残ったのです。運命をわけた条件については、今なおわかっていません。