世界中のファンを熱狂させた映画版『ウィキッド』の完結編が、日本でも公開された。ユーモアに満ちた前編『ウィキッド ふたりの魔女』に比べ、後編『永遠の約束』は、ダークで、感情的で、ドラマチックだ。ただし、これはふたつでひとつの映画であり、撮影も同時に行っている。意識しての「差別化」を狙ったわけでは、決してないという。
「前作は、夢と希望についての話だった。勇気を持って困難に立ち向かうということを語っている。僕たちが子どもの頃、本で読んだり、親から聞かされたりしたエッセンスが詰まっていたんだ。対して今作は、現実について描いている。立ち上がったはいいとして、その後に何が起きるのか? 悲しいことに、友達は去っていくし、さらにヒソヒソと陰口を叩かれたりするわけさ」
そう、ジョン・M・チュウ監督は語る。
前後編は同時進行で撮影されていた
前後編の流れは初期に決定していたものだ。しかし、前編が大ヒットしたことで、ダークな面をより深掘りする勇気が出た。
「観客がエルファバとグリンダを本気で愛しているとわかったから、躊躇なくこのふたりをもっと深いところまで連れて行くことにした。映画のために書き下ろされた新曲『No Place Like Home』と『The Girl in the Bubble』が出てくるのもそのためだ。エルファバは、『家』とはなんだろうと思いを巡らす。一方のグリンダは、自身が現実に背を向け、自分が作った小さな世界の中で生きてきたことを悟る」(チュウ)
後編でより大きな変化を見せるのは、アリアナ・グランデ演じるグリンダ。前編で演じる上でも、それは常に意識していたと本人は語る。
「前後編はまさに同時進行で撮影されて、『月、火、水は前編、木、金、土は後編』という感じだったわ。グリンダのバックストーリーについては、子ども時代はどうだったのか、両親との関係は、トラウマはどこから来たのか……などなど、じっくりと考えていたから、映画には出てこないけれど、そういうことを全部、私は把握していたの。いつもキラキラして自信満々に見える彼女だけど、心の中は不安でいっぱいで、実は自尊心も低い。だからこそ彼女は周囲から認められようと必死なのよ。前編の彼女にも、それは透けて見えているの」
スティーヴン・シュワルツによる新曲を初めて歌うのは、グランデとシンシア・エリヴォにとって、とてつもない光栄でもあり、緊張する経験でもあった。

