〈あらすじ〉

 1943年3月31日の夜。ニューヨークはブロードウェイ劇場近くの名店サーディーズのカウンターで一人、しゃべり続ける男がいる。ロレンツ・ハート(イーサン・ホーク)、作詞家だ。数多くの名曲を生み出した才能が讃えられる一方で、アルコール依存症で時代遅れのスターをバーテンダーのエディ(ボビー・カナヴェイル)以外、誰もまともに相手にしようとしない。

 さらに今夜はハートの長年の相棒だった作曲家リチャード・ロジャース(アンドリュー・スコット)が、別の作詞家と組んだ新作ミュージカル『オクラホマ!』の初演日。大成功をおさめた彼らが、まもなく打ち上げにやってくる――。そんな中、ハートが待っているのは女子大学生のエリザベス(マーガレット・クアリー)だ。その訪れを待つ間、彼の口からは彼女を賛美する言葉が溢れて止まらない。

〈見どころ〉

 リンクレイター監督の盟友ともいうべきホークの役作り。この役に合う年齢になるまで時期を待ったうえ、体格などの外見もハートに近づけている。

名作詞家の忘れがたい一夜のドラマ
「ブルームーン」や「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」などの名曲の作詞を手がけたロレンツ・ハートの晩年を描く会話劇。『ビフォア』3部作で知られるリチャード・リンクレイター監督が10年以上の構想を経て製作。主演のイーサン・ホークは、今年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされている。

©2025 FUNNY VALENTINE, LLC ALL RIGHTS RESERVED. 配給:ロングライド
  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆名コンビ健在と言いたいところだが、今回は微妙に呼吸が合わない。旧世界との別れを惜しむビタースウィートな味は共有できているものの、監督のプランと役者の工夫がときおりずれる。背を低く見せるトリックは要らない。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★★スタイルのいいE・ホークが見栄えのしないハートを演じるとは。半立ちのペニスを事の予兆として論じるやら、下世話な会話の全てが面白い。性別に関係なく求めても交われない酒浸りのハートの、怒りに沈む孤独に共感。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆光に見放され、影に隠れる者の深い哀感。大胆な役作りで全編孤独に喋り続けるイーサン・ホークの芝居に見惚れる。『恋人までの距離』から30年、リンクレイター監督と彼の黄金タッグが辿り着いた円熟の境地として感慨深い。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★★伝説的なバーのセットの世界で会話は緩衝材となり、知性が鎧を纏った時代遅れな男を低すぎる位置へ封じ込める事で、目に見えないヒエラルキーを体現するイーサンとリンクレイターによる絶妙な人生の黄昏の抹消を味わう。

  • 今月のゲスト
    岡本真帆(歌人)

    ★★★★★確かにある愛の、けれどもその形がどれ一つ同じではないこと。うう、なんて切ない。イーサン演じるロレンツの仕草や言葉に繊細さやユーモアが溢れて、愛しい。『ブルームーン』の歌詞とメロディが優しく切なく胸に響く。
     

    おかもとまほ/1989年生まれ、高知県出身。東京と高知の二拠点生活を送りながら、歌人、作家として活躍中。著書に、歌集『水上バス浅草行き』『あかるい花束』、エッセイ集『落雷と祝福』などがある。

  • 最高!今すぐ劇場へ!★★★★★
  • おすすめできます♪★★★★☆
  • 見て損はない。★★★☆☆
  • 私にはハマりませんでした。★★☆☆☆
  • うーん……。★☆☆☆☆
エリザベスを演じるM・クアリーは、『サブスタンス』ほか話題作への出演が続く注目女優。役のモデルは実際にハートと文通していた女子学生で、その手紙からこの物語が発想されたとか。
©2025 FUNNY VALENTINE, LLC ALL RIGHTS RESERVED. 配給:ロングライド
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『ブルームーン』
監督:リチャード・リンクレイター(『6才のボクが、大人になるまで。』)
脚本:ロバート・キャプロウ
2025年/米/原題:Blue Moon/100分
新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
3月6日(金)~
https://longride.jp/bluemoon/