内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」のチームが2月1日、南鳥島沖の海底約6000メートルからレアアース泥を採鉱することに成功した。SIP海洋プログラムディレクターの石井正一氏がこの快挙の重要性と今後の可能性について「文藝春秋」4月号に寄稿した。

「2月1日未明にレアアース泥を船上に揚泥できたことが確認できました。“夢”だった深海約6000メートルからのレアアース泥の採鉱がついに“現実”となった瞬間です」と石井氏は振り返る。

石井正一氏 ©文藝春秋

海底約6000メートルからの採鉱は世界初の快挙

 石井氏は、1973年に石油資源開発株式会社に入社、長年、同社で海洋資源開発に携わってきた。同社副社長を経て、2018年からSIPプログラムディレクターを務めている。

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「海底約6000メートルからレアアース泥を連続的に採鉱したことは、世界で初の快挙です。内閣府の『戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)』の一環であるこのプログラムは、既にスタートして10年以上。海洋研究開発機構(JAMSTEC)をはじめとする9府省庁4国立研究機関、民間の協力会社が連携して研究開発に取り組んでいます」

海底に沈んでいく ©︎SIP/JAMSTEC

 これほどの歳月と労力をかけて深海から採鉱するのは、世界各国が獲得競争を繰り広げているように、レアアースが現代のハイテク製品に不可欠な戦略資源であるからだ。

「最大の用途は『高性能磁石』。普通の磁石は高温になると磁力を失いますが、レアアースを極く少量加えるだけで高温でも磁力が落ちません。いわば磁石にとっての“栄養ドリンク剤”で、この高性能磁石が、ジェット機や戦闘機のエンジン、EVのモーター、ロボットのアーム、リニアモーターカー、ロケットなどに使われています」