製作を担う大阪の大手繊維商社・SAWAMURAの河上政慶さんは「利益はあまり考えていない。新しいものを作ることに重点を置いている」と開発に伴走してきた。
その結果、手がけた福祉下着が日本デザイン振興会主催の2025年「グッドデザイン賞」に選ばれたのだ。
「妥協しない」という決断
だが、課題はコスト。
「想定していた費用の倍になった」
コストを抑えるためにこだわりを削れば、それは“妥協して履きたくない”という原点を裏切ることになる。
「自分の作りたいものを作ったらこの価格でした、と正直に伝えよう」
新藤さんの挑戦は“心を満たす福祉下着”を社会に届けること。機能も美しさも、どちらも妥協できない。
その思いを形にするため、2026年2月8日から先行予約販売を兼ねたクラウドファンディングを開始した。ショーツを10~30%値引きしたリターンのほか、商品を受け取らない支援のみのリターンも用意している。
集まった支援金は、新製品の開発や運営費などに充てられる予定だ。産褥用ショーツや男性用福祉下着など、新たな構想が次々と生まれている。
横浜国立大で「気付かない壁」語る
福祉下着の開発をきっかけに、新藤さんは障害の実態を伝える活動にも踏み出した。
2026年1月、横浜国立大学の講義にゲストとして招かれた。大学は「ダイバーシティ推進宣言」のもと、相違を個性として尊重し、多様性を生かす取り組みを進めている。
学生に何を伝えたいのか。新藤さんはこう話す。
「気付かない壁というか、そういうものがあるということを考えてもらえる時間になったらいい」
初めて大学の教壇に立ち、緊張した面持ちで学生に語りかけた。
病気の発症、排泄障害の現実…。
「自信を失い、コンプレックスを持ちました」
そして、長らく抱えてきた思いを言葉にする。
「障害があってもなくても、おしゃれをしたい気持ちは同じです。健常者の人が履きたいと思えない下着を、障害者も履きたいと思わない」



