20年以上原因不明の体調不良を抱え、20回以上入退院を繰り返し、38歳の時に難病「慢性偽性腸閉塞症(CIPO)」であることが判明した医師のエマ・大辻・ピックルスさん(47)。
胃の大部分と大腸を摘出し、現在はオストメイトモデルとしてストーマについての情報発信を行うエマさんに、闘病の日々やストーマとの付き合い方などについて、話を聞いた。(全3回の3回目/1回目から読む)
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「血だらけになる」肛門付近に溜まった物体を指で掻き出すことも…
エマ・大辻・ピックルスさん(以降、エマ) この前、母から「うちのウォシュレットが弱いから替えようと思ってるんだけど、エマちゃんちのウォシュレットはどんな感じ?」と、絶対に答えられない質問をされました(笑)。
――人工肛門(ストーマ)だとウォシュレットは使わないですよね。
エマ そうそう。でも、ときどき反射的に何か出そうな感覚はまだあるんですよ。
――肛門からの排便はできないはずだけど、かつての感覚が名残として残っている?
エマ 実際は、直腸上端で切っているので、肛門は微妙に残っているんです。粘液だけは今も出続けていて、それが固まって、肛門付近に雪だるまのように溜まっていく感じです。
最初は、なにかよく分からない物体が肛門内に居座っていたことにかなりびっくりしました。
――溜まった物体はそのまま?
エマ 定期的に「摘便(肛門から指を挿入して便を掻き出す医療行為)」という方法で掻き出さないといけないんです。これが出産ばりに痛いし、冗談抜きで血だらけになります。
「慢性偽性腸閉塞症(CIPO)」は進行性かつ抜本的な治療法がない難病
――聞いてるだけで痛いですが……改めて、「慢性偽性腸閉塞症(CIPO)」とはどんな病気か教えてください。
エマ CIPOは進行性かつ、いまだに抜本的な治療法がない難病です。
普通の人の場合、食道、胃、小腸、大腸と食べ物が流れていく時に、「次のコーナーに移動します」というシグナルが伝わるんですけど、CIPOは、そのシグナルを受け取るニューロンが死んでいく病気なんですね。

