「子どもと一緒に寝てる時、パウチが爆発しちゃって便だらけに…」

――お子さんにストーマの説明はされていますか。

エマ 私が人工肛門になった時、子どもは7歳だったんですけど、遠くから見て、「早くそのお腹にくっついている赤いものをしまってくれ」みたいな感じでしたね(笑)。

 改まって教えなくても近くで見てるからか、慰め方も上手なんです。昔一緒に添い寝していた時にパウチが爆発しちゃって、便だらけになってしまったことがあったんです。「臭いよね、マジごめん」と言ったら、「いや、洗えばすむことだから」って。お見事って思いました(笑)。

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――小さい時からお母さんの闘病を見ているからですかね。

エマ 入院で家にいないことが多かったので、私の部屋に来て、母である私が生きていることを確認するのが子どもの日課になっています。とりあえず子どものためにも、目標は「死なない」ということで、ここまできました(笑)。

 あと、そもそも「排泄」って、生きている証拠なんですよね。がん患者の方を診ていた時、だいたい亡くなる1週間前に排便が止まって、3日前くらいには排尿もなくなるんです。

 だから、排泄物が出ているということは、「今日も生きられた」という、健康の証です。そういった発信も、ネガティブな印象を払拭するには大事かなと思っています。

「見た目にはわからなくても、いろんなものを抱えて生きている人がいる」オストメイトモデルとして伝えたいこと

――オストメイトに対する偏見や無理解を感じた瞬間はありますか。

エマ オストメイトトイレを使う時が一番ドギマギしますね。トイレから出た時に車椅子の人がいたり、バギーを押すお母さんが待ってたりすると視線が痛いというか。

 結局、ヘルプマークを付けていても、見た目にはオストメイトかどうかなんてわからないですからね。

 CIPOになったことで、自分が“目に見えない障害者”に分類されたことにまず驚きましたし、医者でありながら、自分のことしか見えていなかったことに気付かされました。

 今後は、見た目にはわからなくても、同じ社会にいろんなものを抱えて生きている人がいるんだよ、ということを伝えていけたらいいなと思っています。

医師として仕事をしながら、ストーマやオストメイトモデルについて発信していく(写真=本人提供)

――水着姿などでオストメイトモデルとして活躍されています。

エマ 自分からオストメイトモデルです、と言えるほどの勇気はないんですけど、番組の企画もあってやらせてもらいました。若いオストメイトの子が「自分も水着でやりたい!」と言ってくれたので、オストメイトのロールモデルがいっぱい増えたらいいですね。

撮影=山元茂樹/文藝春秋

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