「大腸のない私にとって食物繊維は敵」水に溶けない繊維質はNG、海藻類やきのこ類も食べられず…
――イカとかタコは硬いからNG?
エマ そうです。硬くてストーマから出せないのでダメですね。
どうしてもタコを食べたかったら、口に入れてもぐもぐして、ティッシュにそっと吐き出して食べたことにするか、ブレンダーに入れられるものは入れて、という感じですね。
私は一回、柿で腸閉塞になってしまったんですけど、水に溶けない繊維質は基本的に全部NGで、海藻類とかきのこ類は食べられないです。
だから、春菊なんか食べようものなら、人工肛門からスルスルとマジックのように出てきますし、詰まったら大変なことになるので、基本的に食べないです。
「食物繊維を摂ろう」っていうのは、大腸のある人が便秘にならないためであって、大腸のない私にとって食物繊維は敵なんですよ。
「ムニュムニュ動きます」はじめて自分の腸を見た時の心境
――改めてですが、ストーマとは、便や尿を出すための腸や尿管をお腹の外に造設した排泄口、ということですよね。
エマ そうです。すごく原始的でシンプルな方法です。
――はじめてお腹から出ている自分の腸を見た時、どのように感じましたか。
エマ お腹に新しい生物ができたような感じで、びっくりしましたね。出ている腸のサイズもタイミングによって変わるし、蠕動(ぜんどう)運動でムニュムニュ動きますしね。
見た目は、ドイツの街なかとかで売られているソーセージみたいな感じです。
「海外ではビーチやプール、スパで露出度が高い服を普通に着ている」オストメイトモデルとして活動し始めたワケ
――エマさんは精力的に情報発信をされていますが、オストメイトであることをカミングアウトしたくない人も多いそうですね。
エマ ポジティブな受け止めをした私ですら、ストーマになった直後は、自尊心を紙やすりで削られるような思いをしました。
一番こたえたのは、入院中、共同のお風呂場の排水口を掃除した時。ストーマ袋を外してきれいに洗うんですけど、人工肛門についていた便が排水口に流れていってしまうので、それを手で拾い集めるわけです。その時はやっぱり、心がやられましたね。

