20年以上原因不明の体調不良を抱え、20回以上入退院を繰り返し、38歳の時に難病「慢性偽性腸閉塞症(CIPO)」であることが判明した医師のエマ・大辻・ピックルスさん(47)。

 胃の大部分と大腸を摘出し、現在はオストメイトモデルとしてストーマについての情報発信を行うエマさんに、闘病の日々やストーマとの付き合い方などについて、話を聞いた。(全3回の2回目/3回目に続く)

オストメイトモデルとして活動する医師のエマ・大辻・ピックルスさん ©山元茂樹/文藝春秋

◆◆◆

ADVERTISEMENT

「デニムは穿けないですね」ストーマ(人工肛門)があるゆえの服装の悩み

――素敵なお洋服ですね。

エマ・大辻・ピックルスさん(以降、エマ) ここ、わかります?(と、お腹のあたりを触る) ゴソゴソってしてるところ。ストーマ(人工肛門)のパウチが付いてるんですけど。

服の上からパウチの場所を示すエマさん

――言われても全然わからないです。

エマ さっき、取材前に喫茶店に行った時、パウチの中にガスが溜まっちゃったんで出してきたんですけど、私の感覚ではまだペッタンコじゃないから気になって。

 こういうギャザーが入っている服だとごまかしが利くんですけど、そういう意味でストーマは服選びが面倒臭いですね。

――ジーパンみたいな伸縮性のないものは厳しい?

エマ デニムは穿けないですね。穿くならマタニティデニムで、と言われています。看護師さんたちからはチュニックを勧められるんですけど、それ一択じゃちょっと厳しいですし。

現在はオストメイトモデルとしても活動している。ストーマのパウチを露わにした水着姿が話題になった(写真=本人提供)

「腸に疾患があるのでは?」産科の医師が身体の異常を指摘

――今ちょうどマタニティウェアの話も出ましたが、33歳で出産された際、産科の医師からも身体の異常を指摘されたそうですね。

エマ 「出産してもお腹がへこまないのはおかしい。腸に疾患があるのでは?」と言われたんです。

 それで検査してもらった結果、胃が拡張していることがわかって、胃の中の空気を抜くために胃ろうを作ったんですね。