そこで透視検査(バリウム検査に似た検査)をしてみたら、胃だけがまったく動いていないことがわかったので、胃のほとんどを切除してもらって、CIPOの胃型という診断がつきました。比企先生からは、「ジャンボ餃子くらいの胃は残ってるから、食事もできるよ」と言われました(笑)。
「ずっと精神病と言われてきたけど、やっぱり違ったじゃん」はじめて診断がついた時の心境
――20年を経てはじめて診断がついた時の気持ちは?
エマ 「勝った」と思いましたね。外科医にみつけてもらったおかげで切ってもらうことができましたし、ずっと精神病だと言われてきたことも、やっぱり違ったじゃん、と。
――「CIPO」になった原因もわかったのでしょうか。
エマ 大学の先生がいろいろ調べてくれたんですけど、人種差で引き起こされる疾患ではないか、ということでした。
私の父はイギリス人なんですけど、曾祖母がスペイン人なので、8分の1、スペイン人の血が入っているんですね。そのため、この病気の大元は、ヒスパニック系の人に多いガストロパレーシス(消化器の機能不全)ではないかということでした。ガストロパレーシスを発症した人の98%がヒスパニック系という調査もあるそうです。
「動いていない大腸なんていらない、取っちゃってください」大腸全摘を決意した経緯
――その後、胃に続いて大腸も切除されたそうですが、これもCIPOが原因でしょうか。
エマ 38歳の時にCIPOの胃型と診断されて胃の5分の4を切除したんですけど、その後もお腹の苦しさが続き、41歳の時、CIPOの大腸型も併発したことがわかって、そこでストーマをつけました。
でも、1年半前に大腸の動きが悪いことが原因で倒れてしまって。それで、どうせ動いていないなら大腸も切除しちゃえ、ということで取ったんですね。
――大腸全摘は大きな決断だったのでは。
エマ むしろ私は、動いていない大腸なんて要らないし、どうせ人工肛門なんだから取っちゃってください、と主治医に懇願したくらいです(笑)。
――切除した大腸は見ましたか?
エマ 写真で見ました。病理検査に出すために、切除した大腸を黒板みたいな板に針で留めて貼るんですけど、「エマさんの腸が長すぎて1枚の板に貼れなかった」と言われました(笑)。

