「写真で見た時はすこぶる満足しました」切除した大腸を見て満足感を覚えたワケ

――人より大腸が長かった?

エマ 通常の倍ぐらいあったみたいです。風船って、膨らませないとだる~んとするじゃないですか。あれと一緒で、動きが悪かった私の大腸はだるだるで長くなってたんです。老人にもこういう大腸は多いですね。

 それでも、写真で見た時はすこぶる満足しましたね(笑)。

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――「取ってやったぞ」という満足感?

エマ そう。何年も苦しませやがって、と思って。もっと前に診断がついてたら、発症した16歳の時にとっとと切ったのに、本当に腹立たしいわと思ってました(笑)。

 あ、でも思わぬ影響で言うと、肌が異常にきれいになりましたね。前はもっとくすんでたんですけど。

 

「究極のデトックス」大腸切除後に肌がきれいになった理由

――大腸を切除したら肌がきれいになった?

エマ そうです(笑)。そんなことってあるのかなと思って、知り合いの医師に聞いてみたら、「便秘で体内に毒素が回るから、ある意味、大腸そのものを取っちゃうのは究極のデトックス」と言ってて。私、限りなく前向きなオストメイトなもんで(笑)。

 あと、胃と大腸の切除で、もうひとつ思わぬ影響があって。なぜか大腸の切除後にメンタルの乱高下がひどくなったんです。診断もついたし、オストメイトの活動も軌道に乗ったのになんでだろうと思ったら、血糖値が36mg/dlしかなくて。「36」って、昏睡のレベルなんですね。

――胃と大腸を切除したことで血糖値に変化があった?

エマ 食べ物が流れていくスピードが普通の人に比べてめちゃくちゃ速いので、血糖値が瞬殺で上がってしまうんですね。で、血糖値が急に高くなると、膵臓がびっくりしてインスリンを大量に出してしまい、食後30分ほどで血糖値が下がりすぎてしまう、というメカニズムです。

 これは、術後の合併症のひとつである「ダンピング症候群」という低血糖発作です。通常、胃の切除後、5~6食に分食をしないと発症する可能性があると言われています。私の場合、あまり多いケースではないですが、大腸切除後にダンピング症候群が発症しました。

 結局、メンタル不調は血糖値の乱高下が原因だとわかり、今は血糖値をチェックして、低血糖になったらアラームが鳴るようにしてコントロールしているんです。

41歳から人工肛門生活を送っている(写真=本人提供)

――アラームが鳴ると、どうやって対処を?

エマ ラムネを食べて糖分を摂取します。でも、ご飯を食べて血糖値が上がった後、また急激に下がってラムネを食べる……ってすると、永遠に終わらないことがわかりました(笑)。

――話は戻りますが、最初に人工肛門の提案を受けた時はどのように思いましたか。

エマ 私の場合、16歳からずっとお腹が苦しかったので、「その手があったか!」という感じで、うれしかったですね。

 でも、ストーマになったことで鬱になる人もいるし、毎年、自殺者も出ているんです。

撮影=山元茂樹/文藝春秋

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