――治療法がない中で進行していくとなると、今はどうやって対処を?

エマ とりあえず今最も苦しい部分に対して、パズルのピースのように対症療法を当てはめてみて、うまくハマる治療をするーーいわば手探りで対処しています。

――進行性ゆえ、動きの悪くなった胃などを切除していった、ということですよね。

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エマ そうです。私は胃も大腸も動かなくなってしまったので、ほとんどを取っちゃったんですね。

 ただ私の場合、たまたま外科の先生方が担当し、これまたたまたま手術を重ねることで、辛うじて中心静脈栄養や腸瘻(ちょうろう)の造設を回避し、口から食べ物を摂取できています。

 私には外科的治療が奏功しましたが、非常に珍しい疾患なので、私の受けた治療はあくまでも例外的な対症療法ですし、病気は確実に進行しているので、ストーマを造ったところで、完治するわけでもありません。

普段は医師として活動している(写真=本人提供)

「今は固形物の食事が苦しい」ストーマ(人工肛門)になってからの食事の苦労

――胃と大腸を切除されたということですが、そうなるとストーマはどこに作るんですか?

エマ 小腸に造設しました。これで小腸を取ったら死んじゃうんでね(笑)。

 ただ、少しずつ進行していることもあって、今は固形物の食事が苦しいです。

――今は基本的に流動食ですか。

エマ そうですね。でも今は、フルコースの食事を全部ブレンダーでミキサー食にしてくれるホテルもあるんですよ。ストーマの人だけじゃなく、嚥下障害がある人にも対応しているから、すごくいいですよね。

医師とオストメイトモデルの“二足のわらじ”に挑戦している(写真=本人提供)

――それでも、どうしても食べたいものもある?

エマ それこそ、グルメ情報がバンバン流れる18時台のニュースなんかを見てると、やっぱり食べたくなりますよ。

 でも、イカとかタコとか食べちゃいけないものはたくさんありますし、そんなものを食べたら即、入院です。