日本を動かす官僚の街・霞が関から“マル秘”情報をお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「霞が関コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。 

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「井上さんだけは、会長になれないと思っていた」

 1月末、井上樹彦氏(昭和55年入局)がNHKの新会長に就任、6代18年ぶりに生え抜きの会長が誕生した。総務省関係者は「井上さんだけは、会長になれないと思っていた」と驚きを隠さない。

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 というのも高市首相との間に因縁があるからだ。「クローズアップ現代」で“やらせ問題”が起きた際、当時の高市総務相が厳重注意の行政指導をしようとNHK幹部を呼び出したが、幹部は総務省から渋谷区のNHK放送センターに逃げ帰ってしまった。その幹部こそ、経営企画担当理事を務めていた井上氏だった。実際、井上会長案には高市首相が予想通り反対した。

井上樹彦氏 ©時事通信社

 NHK会長は、経営者や有識者が集う経営委員会が選ぶことが放送法で決まっている。しかし、それは表向きのこと。ここ6代の民間企業出身会長の人事には、安倍晋三元首相に近いJR東海の葛西敬之名誉会長、または総務大臣を経験した麻生元首相の影響力が色濃く反映されてきた。

 一方、表看板の経営委員会を率いる古賀信行委員長(元野村HD会長)は、プロパー若手の抜擢を模索した。しかし、NHKは報道、営業、技術などの巨大組織が縦割りのまま意思疎通を欠き、人事の時期には怪文書が飛び交う伏魔殿である。

 若手プロパー会長を一旦諦め、一時はまだ60代の経営委員、田渕正朗氏(住友商事専務、SCSK会長などを歴任)の起用や自身の就任まで検討した。

NHK(日本放送協会) ©show999/イメージマート

 決定打が出ないまま、調整はもつれにもつれ、最後は麻生氏らが「井上でいいじゃないですか」と高市首相を説得したという。共同通信社は、井上氏が麻生氏らの事務所を訪ねる姿が「しばしば目撃されていた」とする記事を配信し、その後、撤回しているが、NHKの関係者は「報道局長にこそ就かなかったものの、経営企画担当理事や副会長だったので政界には知り合いが多い。政治部出身者らしからぬ物腰で、中堅議員らにも丁寧に接している」と明かす。〈続きでは、新体制におけるNHKの人事などについて語られています〉

※本記事の全文(約4500字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年4月号に掲載されています(霞が関コンフィデンシャル)。

出典元

文藝春秋

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