北朝鮮では、3月15日に最高人民会議(国会に相当)の代議員選挙が予定されている。選挙後には最高人民会議が開催されるという。同会議において憲法を改正し、「国家主席」のポストを復活させる見通しだ。

金正恩総書記 ©AFP=時事

「平和的な時代」の象徴として「国家主席」を復活か

 金正恩(キム・ジョンウン)氏は、2011年の父・金正日(キム・ジョンイル)氏の死後、「第一書記」、「委員長」を経て、2021年に最高指導者である「総書記」に就任した。今回、金正恩氏の国政運営の成果とリーダーシップが高く(自己)評価され、新時代の到来を告げる意味合いで、金正恩氏への国家主席称号の付与が推進されているという。対北朝鮮情報筋は筆者の取材に、「第9回党大会を準備する過程で、国家主席を復活させる議論があったと聞いている」と語った。

 2016年の最高人民会議で国防委員会が事実上廃止され、国務委員会が新設された後、金正恩氏は国務委員長に推戴された。金正日国防委員長から金正恩国務委員長への職責変更が時代の変化を反映したものであったように、今回の国家主席職の復活は「平和的な時代」や「国家の安定期」を象徴的に示すものになる、との意味合いを持たせているようだ。

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餓死する市民が多数発生していると言われる中で

 ところが、最近でも餓え死にする市民が多数発生していると言われる中、北朝鮮の現状が果たして「国家の安定期」と言えるだろうか。北朝鮮指導部はなぜ「国家の安定期」と称しているのか。

 金正恩氏は、2月19日から開催された第9回朝鮮労働党大会の開会式で、「将来に対する楽観と自信に満ちて党第9回大会に臨んでおり、これは実に大きな変化と発展であり、現段階で誇るべき成果である」と述べた。続いて、「対外的に見ても、国家の地位を不可逆的に堅固に固めることで、世界政治構図と我が国に及ぼす影響関係に大きな変化をもたらした」と明らかにした。

金正恩氏が自信をつけた理由

 さらに、「過去5年間のように、厳しく困難な環境を克服し、大きな成果を上げたことはかつてなかった」「今日に至ってはすべてが根本的に変わった」と語気を強めた。ここから、金正恩氏がかなりの自信に満ちていることがうかがえる。北朝鮮指導部がこのような認識を持つに至った背景には、ロシアへの兵器提供(輸出)や兵力派遣の見返りとして先端兵器の技術や資金を獲得していることへの自信や、ある程度備蓄(倉庫)を満たすことができたという自負があるのかもしれない。