号泣シーンは「テストなしの本番一勝負」だった

──撮影はスムーズでした?

吉川 いきなり過酷でした(笑)。クランクインした日が、人生に絶望した柚子が、永瀬さんが演じる鬼の玲夜と歩道橋の上で出会う大事なシーンで。脚本に「(柚子が)泣く」と書いてあったので、テスト撮影で感情を盛り上げる準備をしようと思っていたら、最初からいきなり本番でいこうとなったときは、驚きました。

写真=榎本麻美/文藝春秋

池田 あのシーンはテストで一度感情が入ってしまうと、二度と同じものは生まれない、失ってしまうのではないかと思って、一発勝負に賭けたんです。スタッフもドキドキでしたが、おかげで素晴らしいシーンが撮れました。あのシーンが撮れたことで、これからの撮影も大丈夫だと感じられたほどです。

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吉川 永瀬さんともほぼはじめましてだったので、お互い探り合いながらだったのですが、1回目で監督からOKと言っていただき、安心しました。

一発OKだったダンスシーン

──ほかに印象的なシーンがあれば教えてください。

吉川 ダンスシーンも大変でした。小1のときにバレエとタップをほんの少し習っていたことがある程度なので、永瀬さんとのダンスシーンがあると聞いて、「本当に私で大丈夫なのか?」と怯みました。

池田 本作のクライマックスですし、踊りながら芝居もする難しいシーンだったので、芝居部分の演出に関しては最後まで待ちました。おふたりには、まずダンスに集中してもらおうと。ダンスが完成して芝居の話ができたのは、撮影前日のギリギリのタイミング。見事にものにしてくれた、ふたりの努力に本当に感謝しています。

©2026「鬼の花嫁」製作委員会

吉川 練習時間も限られていて、永瀬さんと合わせて練習できたのはほんの数回。とてもプレッシャーがあった中で、本番ではさらにまわりにエキストラの皆さまもたくさんいらっしゃったので、緊張しました。

池田 でもそれも本番1回で完璧でした。永瀬さんも吉川さんもすごいな、と感動しました。おふたりは、少し似ているところがありますよね。

吉川 そうですか?

池田 芯が強くて努力していることを簡単に出さない。そんなおふたりの同志と一緒に作品をつくれて、楽しかったです。

吉川 私も池田組に参加させていただくことができて本当に楽しかったです。またぜひご一緒したいです!

榎本麻美=写真
山田莉樹=スタイリング
室橋佑紀=ヘアメイク

いけだ・ちひろ 1980年、静岡県生まれ。テレビドラマ「40までにしたい10のこと」(25年)でザテレビジョンドラマアカデミー賞監督賞を受賞。「初恋、ざらり」(23年)で第50回放送文化基金賞ドラマ部門優秀賞を受賞。 近年手がけた映画に、『君は放課後インソムニア』(23年)、『九龍ジェネリックロマンス』(25年)など。

よしかわ・あい 1999年、東京都生まれ。映画『ハニーレモンソーダ』(21年)で第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。『ジュラシック・ワールド/復活の大地』(25年)では、日本語吹替でテレサ役を務めるなど、振り幅の大きな演技で存在感を発揮。待機作品には映画『口に関するアンケート』(26年)がある。

INTRODUCTION

原作小説、コミカライズともに今最も勢いのある大人気和風恋愛ファンタジーを、King & Princeの永瀬廉と実力派俳優・吉川愛のW主演で実写映画化。テレビドラマ「40までにしたい10のこと」(25年)や映画『九龍ジェネリックロマンス』(25年)など話題作を手がける池田千尋が監督を務め、令和ならではのシンデレラストーリーに仕立てた。強烈なカリスマ性を放出する尾野真千子のキャスティングにも注目。

 

STORY

優れた容姿と能力で人々を魅了する“あやかし”と人間が共存する世界。あやかしの花嫁である妹と比較され、家族から愛されず虐げられてきた柚子(吉川愛)は、ある日、あやかしの頂点に立つ鬼の一族の次期当主・玲夜(永瀬廉)に花嫁として見出される。互いに居場所を見つけ、愛を確信していく2人。しかし、それを面白く思わない妹の花梨(片岡凜)は、婚約者の妖狐・瑶太(伊藤健太郎)と一緒に2人を引き離そうと画策し……。

 

STAFF & CAST

監督:池田千尋/脚本:濱田真和/原作:クレハ『鬼の花嫁』(スターツ出版文庫)/出演:永瀬廉、吉川愛、伊藤健太郎、片岡凜、兵頭功海、白本彩奈、田辺桃子、谷原七音、嶋田久作、尾野真千子/2026年/日本/配給:松竹株式会社/©2026「鬼の花嫁」製作委員会

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