最初は工房を貸すことに抵抗もあったという。しかし道代さんの死から10年が経ち、金澤さんが空き工房を探していることを知り貸し出しを決めた。「金澤さんが来てくれて、後を継いでくれてよかった」と思いを語った。
道代さんが遺した素焼きの作品も、金澤さんの手で色が付けられ命が吹き込まれた。金澤さんは、「窯や道具は今でもすぐに使えるぐらい大切に使われていた。作品を見るとすごく楽しく作陶されていたんだろうな」と語る。
厳しい現実と向き合いながらも歩む道
波佐見町で陶芸家としてのスタートを切ったばかりの金澤さん。作り手に直接話を聞きたいと、波佐見焼の窯元を訪ねた。
訪ねたのは、数々の受賞作品を生み出し「現代の名工」に選ばれている治甫窯(じすけがま)の陶芸家・立井清人さんだ。立井さんから、作家であり続けることの厳しさを教わった。
立井さんは、「今は本当に厳しい。私も農業しながら、陶芸教室しながら、一般食器を作りながら作家活動をしている。金澤さんはまだ若いからこれからファンもだんだん増え、作品に惚れるお客さんは必ずいる。そういうお客さんを大切にしていってほしい」と、金澤さんに教えを説いた。
金澤さんも作家として作品を作り続けるために、町内の温泉施設でアルバイトをしながら創作活動をしている。作家の作品が売れない時代にあって作家としてあり続けるために、生活の糧が別で必要だという現実を肌で感じている。
そんな中でも「厳しい現実ではあるけど自分なりの売り方だったり、海外にも出していきたいという思いもあるので楽しみでもある。新しい波佐見焼のカタチを出していきたい」と将来のビジョンを思い描いている。
金澤さんの作品は4月5日に町内で開催されるマルシェで販売されるほか、インターネットでも購入することができる。亡き陶芸家が遺した工房で独自のスタイルで作品作りに挑む金澤さん。長く続く陶芸の道の入口にまだ立ったばかりだ。
(テレビ長崎)






