婦人科で器具を挿入されると、具合が悪くなる
「私は弁護士に当初から『絶対に和解はしない』と伝えていました。しかし書面を一往復した段階で、200万円での和解を勧められた。これに弁護士が喜んで、勝手に和解交渉の日取りを決められてしまったのです。仕方なく、その場で解任しました。
最終的な和解勧告の場では、金額が上乗せされて300万円を提示されましたが、やはり断った。結局、損害賠償額はその金額を下回りましたが、彼の不法行為の悪質性が事実認定されたことで、全国に広く報道された。和解に応じなくて良かったと思っています」(マイコさん)
それでも心の傷は深い。
「心無い人からは『たった4カ月付き合っただけ』と言われたこともありますが、私にとっては人生が一変する出来事。訴訟では河合から『原告は複数の男性と交際していた』と事実無根の侮辱的な主張もされた。
交際中、河合からは『他の人に触れさせたくない』と言われましたが、男性を信用できなくなり、皮肉にもその言葉通りになりました。さらに、婦人科で器具を挿入されるだけでも緊張して具合が悪くなる。“男性不信”の一言では片づけられない影響を実感しています」(同前)
慰謝料が目当てではない
だが、前向きな変化も感じているという。マイコさんの訴訟の判決がNHKなどのメディアでも報じられたことで、被害者の会のXアカウントのフォロワーはかつての2倍に増えた。
「独身偽装の被害者で、任意交渉中だった女性から、『相手が慰謝料を100万円から300万円に増額してきた』という連絡がありました。被害者の会のアカウントや報道を知って、慌てて金額を上げてきたようです。私たちは決して慰謝料が目当てなのではなく、相手の貴重な時間と気持ちを踏みにじる加害者に猛省を促したい。その意味で、そうした連絡を受けて、初めてこの活動で誰かのためになれたという実感がありました」(同前)
マイコさんのもとに寄せられた反響の多さは、それだけ世間に独身偽装が溢れていることの裏返しでもある。中には、相手との子供を妊娠した後に既婚者と判明したケースや、加害者の妻から不貞行為で損害賠償を求められるケースもあった。だが、彼女たちはこれまで日の目を見てこなかった。
「被害者の中には、行政の性被害相談窓口に相談したら『性被害? その時は同意してたんでしょ。早く忘れて自分磨きしなさい』とあしらわれた女性もいました」(同前)
