《とりわけ似ているのは、歴史への無関心である。二人とも、過去との不断の対話を通じ、未来と向き合う姿勢がほとんどない。》
トランプ大統領「真珠湾」発言をめぐる米ニュース番組の反応
具体例として「高市氏の台湾有事失言は、日中戦争から戦後の国交回復、四つの重要文書の蓄積を軽んじる人だから起きた」と指摘する。靖国神社の歴史や、日本とイランの特別な外交関係への理解の乏しさにも触れたうえで、「そんな二人でめざす『質を高めた同盟の更なる高み』。そこで何が待っている」と問いかけている。
そういえば今回の会談ではトランプ氏による「真珠湾」発言もあった。記者からイラン攻撃を事前に同盟国に知らせなかった理由を問われ、日本軍による真珠湾攻撃を引き合いに出したのだ。「奇襲と言えば日本だろう」「なぜ真珠湾攻撃を知らせてくれなかったのか」という言い方でだ。
軽妙な切り返しのつもりだろうが、米ニュース番組では司会者たちが絶句し「なんというか……他のどの大統領からも見られないような発言です。大統領は通常、同盟国に対して礼儀正しく振る舞おうとするものです」とか、「まるで(深夜バラエティ番組の)『サタデー・ナイト・ライブ』か何かを見ているみたいだった」という反応もあったという(ハフポストUS版)。
まさに歴史の教訓を顧みない軽口である。普通はそんなこと言わないよねと思うが、ここでも歴史への無関心、公の精神の欠如が証明されていないか。
そして高市氏にも『「奇襲」発言に無反応だったことは外交上の重大な失点では』(日刊スポーツ「政界地獄耳」)という指摘も出ている。トランプ氏が大好きな安倍晋三元首相は10年前、オバマ元大統領と並んで真珠湾で献花し、戦争の惨禍は二度と繰り返してはならないと誓っている。あの歴史の意味は、2人にどこまで共有されていたのだろうか。
今回の首脳会談は、日本外交の現在地を映し出しているように思える。リーダー個人の振る舞いや国の事情が交錯するなかで、「公」と「私」の距離が揺らいでいる。そこに歴史への関心の薄さが重なるとき、たとえ周囲がどれほど成功だと喧伝しても、その影響は今後、外交を含む様々な場面で現れてくるのではないだろうか。
