「独裁者の方が合理的に判断し行動している」

 そして、インタビューの中でトッド氏は、現在の国際秩序における驚くべきパラドックスを指摘した。

「西洋の国々のリーダーたちの振る舞いは、ビクビクしていたり、勇気がなかったりしている。一方、中国やプーチンをはじめとするロシアの指導者たち、さらにはイランの指導者にしても、独裁者と言われているリーダーの方が合理的に物事を判断し行動していると言えるのではないか」

左からトッド氏と、通訳を務めた堀茂樹氏

 自由民主主義の陣営の指導者たちが理性を失い、独裁国と呼ばれる国々の指導者の方が理性的であるという皮肉な事態に我々は直面している。

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「アメリカはもはや民主的な国家ではない」

 トランプ大統領のイスラエルとの共同軍事行動が支持者離れを招くのではないかと問われると、トッド氏はさらに踏み込んだ。アメリカでは圧倒的多数が戦争に反対しているにもかかわらず、政府は戦争を遂行している。選挙が意味を持つのかさえ怪しいと指摘し、「アメリカはもはや民主的な国家ではなくて、“帝国システム”のようなものになって、内政・外政問わず暴れてしまっている」と断じた。

 

 トッド氏は次のように警鐘を鳴らした。

「かつてヒトラーがあそこまで突き進んでしまうとは誰も想像しなかった。でもそれは起こってしまった」

 暴力の程度がどんどん上昇している今、あらゆるケースを想定する勇気を持たなければならないとトッド氏は強調した。

次の記事に続く 「日本はアメリカ帝国の支配下」「反中国は偽のナショナリズム」エマニュエル・トッドが語る、日本が核武装すべき“根本的な理由”