2026年3月、4Kリマスターで蘇った『映画 冬のソナタ 日本特別版』が公開された。韓流ブームの原点となったあの名作は、なぜ当時の日本人女性をあれほど熱狂させたのか。そして、“ヨン様”ことペ・ヨンジュンは今、何をしているのか。色褪せない『冬のソナタ』(以後、『冬ソナ』)の魅力をあらためて紐解く。
羽田空港に5000人のファンが殺到
『冬ソナ』を最初に観たのは、もう20年以上も前のことだが、あのオープニング曲「最初から今まで」を聞くと今でも胸がざわめく。
『冬ソナ』が日本で初放送されたのは、2003年4月のこと。NHKのBS2で放送されると、瞬く間に人気となり、同年の12月にも再放送された。『冬ソナ』ブームの立役者ペ・ヨンジュンが来日したのは、翌年の2004年4月。史上初となる、羽田空港に5000人ものファンが押し寄せた光景をワイドショーで見た筆者は、その熱狂に感化され、同月からNHKの地上波で放送された『冬ソナ』を観始めることになった。
いわゆる日本においての「韓流ブーム」は、この『冬ソナ』がNHK BS2で始まった2003年を起源としている。これを第一次韓流ブーム(2003~2006年頃)といい、その後、『美男<イケメン>ですね』から始まる第二次韓流ブーム(2010~2012年頃)、K-POPや韓国グルメが注目された第三次韓流ブーム(2016~2019年頃)、『愛の不時着』で韓ドラ人気が再燃した第四次韓流ブーム(2020年~)へと続いている。
今や韓流ブームは、ドラマだけではなく、一過性のものでもない。ひとつのジャンルになったようにも思うが、いずれにせよ、その始まりは『冬ソナ』なのである。
『冬のソナタ』が日本の“純愛”をよみがえらせた
『冬ソナ』は、なぜ、日本人女性の心を捉えたのだろうか。
3月6日から公開されている、20話計1400分のドラマを再構成した『映画 冬のソナタ 日本特別版』のPVのはじめには、「韓流の原点」と記されている。その韓流の原点とは、すなわち“純愛”である。
20代後半のユジン(チェ・ジウ)の前に、亡き初恋相手チュンサン(ペ・ヨンジュン)に瓜二つの青年ミニョン(ペ・ヨンジュン)が現れたことにより物語が大きく動き出す『冬ソナ』。そのストーリーの重要な核は、高校時代の初恋だ。
本稿を書くためにドラマを改めて観直したが、甘酸っぱいエピソードの選別がとにかくうまい。『冬ソナ』というと、雪だるまを使ったキスシーンがよく映し出されるが、高校の放送室で無邪気にダンスをするユジンをチュンサンがのぞき見してしまうシーンなども何かこう甘酸っぱい。そしてその眩しいほどに純粋で切ない初恋への想いは、大人になったユジンの中にも揺るがないものとして残っているのである。
考えてみれば、『冬ソナ』が始まる前の90年代に、日本のテレビドラマにおいて、これほどロマンチックな純愛中心の作品はあっただろうか。『冬ソナ』は、ちょうど枯渇していた日本の“純愛”市場にうまく入り込み、純粋さをひっそりと持ち続けていたある世代の女性たちの心を掴んだのではないだろうか。

