〈あらすじ〉
ろう者の家庭に生まれ、手話をはじめとした“ろう文化”に誇りを持って生きるジーソン(ネオ・ヤウ)。今はスクーバダイビングのインストラクターになるという夢を追いかけながら、障がい者団体で働いている。一方、ろう学校時代の同級生アラン(マルコ・ン)は、人工内耳手術を受けて広告クリエイターとなった。ある時アランは、ともに「人工内耳促進アンバサダー」に選ばれたソフィー(ジョン・シュッイン)と出会う。3歳で聴覚を失った彼女は、できるだけ“普通の人”として生きることを目指してきたという。
その後、ジーソンはあえてろう者を売りにした洗車会社を設立。ソフィーはこれまで知らなかった“ろう者の世界”を知ったことで手話を学び始める。そんな折、耳に装着した旧型の人工内耳が不調をきたす。アランは、早く交換の手術をするよう言うが……。
〈見どころ〉
聴覚障がいを持つ人たちの生活環境を体感させる革新的な音響設計。また、彼らが迫られる選択について三者三様の生き方で描いている。
香港発、ろう者たちの青春ドラマ!
聴覚障がいを持ちながら、それぞれ異なる生き方を選んだ3人の若者たちの挫折と希望を描く。監督のアダム・ウォンは、香港映画を牽引する注目の存在。ろう者文化への理解を深めるため、制作の全過程でろう者コンサルタントの指導を受け検証を重ねた本作は、国内外で高い評価を得ている。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★☆☆「普通の人」の基準は高い、という台詞にぎくりとした。自身の弱点や難点を痛感する人なら、だれしもそう思うはずだ。映画以外でも伝達できる主題だが、平明な映像は不快ではない。手話と人工内耳を隔てる壁の厚さにも驚く。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆想像でしか知らなかった具体的な気持ちの伝え方に惹き込まれた。偏見や差別意識や優越感が、この作品に描かれた面白さや苦しさ、自分と向き合う逞しさに、社会的な温情という不気味な蓋をしていたと気付かされる。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆丁寧に設計された音響空間に同期する手話の美しさ。成長譚に細やかな光を当てた内容には気づきが多く、モダンな作風で爽やかな青春映画に仕上げた監督の力量も確か。描写が感傷に流れない非常に洗練された作品でもある。
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洞口依子(女優)
★★★☆☆音のない世界で生きる若者三人が実にみずみずしい。海中の場面や音設計、俳優たちの表現力の深さに舌を巻く。そもそも音をどう捉えていたか記憶にない胎児の頃を想像させられたほど、聴覚についてセンシティブに描く。
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今月のゲスト
竹田ダニエル(ジャーナリスト・研究者)★★★★☆手話か、口話(音声言語)か、人工内耳かという選択は教育や就労の制度、社会の偏見と結びつくが、聾者の人生を「感動」や「克服」の物語に回収しない姿勢が印象的。手話の美しさと、コミュニケーションの多様さにも着目。
たけだだにえる/1997年生まれ、アメリカ出身・在住。「カルチャー×アイデンティティ×社会」をテーマに執筆、研究。2023年「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」を受賞。著書に『世界と私のAtoZ』、『アメリカの未解決問題』(共著)など。
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©2024 One Cool Film Production Limited, Lee Hysan Foundation. All Rights Reserved. 配給:ミモザフィルムズ
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『私たちの話し方』
監督:アダム・ウォン
2024年/香港/原題:看我今天怎麼說(英題:The Way We Talk)/132分
新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
3月27日(金)~
https://mimosafilms.com/thewaywetalk/




