炎暑の今夏を通して人気だったものが、アイスやかき氷のほかにもひとつ。東京国立博物館平成館での「縄文―1万年の美の鼓動」展だ。
全国から出土した縄文時代の遺品を集めに集めて、縄文美術の最高峰をずらり並べた展示は、なかなかの迫力。メラメラと燃える火をかたどったような《火焔型土器》から、すわ宇宙人到来かと思わせる容貌の《遮光器土偶》まで、どれも観る側の想像力を掻き立ててくれる。
この展示を開幕早々に観たのが、小説家の村田沙耶香さん。
芥川賞受賞作『コンビニ人間』では登場人物に、縄文時代はよかったと述懐させ、8月31日刊行の最新作『地球星人』でも原始のそれを思わせる生活を描いているように、縄文時代には並々ならぬ関心を寄せてきた。
なぜ縄文なのか? 縄文のどんなところに惹かれるのか? 村田さんにお話を聞けた。その言葉と考えを、会期も残りわずかになってきた「縄文」展の最良のガイドとされたし。