ソ連崩壊、リーマンショック、トランプ大統領誕生などを次々に予言したフランスの歴史人口学者・家族人類学者のエマニュエル・トッド氏(74)。2024年1月に仏語原著が刊行された『西洋の敗北』は世界27カ国で翻訳が決定し、日本語版も10万部超のベストセラーになっている。

 一方、PayPalやPalantirの共同創業者にして“シリコンバレーのドン”の異名をもち、いち早くトランプ支持を表明し、J・D・ヴァンス副大統領就任にも深く関与したピーター・ティール氏(58)。月刊「文藝春秋」(2、3月号)に掲載されたティール氏の「世界の終わりへの航海」(会田弘継訳「ピーター・ティールのワンピース論」「『ワンピース』のルフィはキリストだ」)が大きな反響を呼んでいる。

アメリカのイラン攻撃後、東京・文藝春秋で対談したエマニュエル・トッド氏(左)とピーター・ティール氏 ©文藝春秋

「世界は終末を迎えているのか」をテーマに“東京極秘対談”

 いま世界が注目する2人の“世紀の豪華対談”が3月2日、文藝春秋本社で実現した(司会は会田氏)。高市首相に面会した「影の米大統領」と「現代最高の知識人」の“東京極秘対談”のテーマは「世界は終末を迎えているのか」。

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 対談の冒頭では、ちょうど2日前の2月28日に始まった米国・イスラエルとイランとの戦争が話題になり、ティール氏は、戦争についてヴァンス副大統領と交わした会話の内容を披露した。

ティール 私自身の直感としては、こうした介入にはあまり賛成ではありません。そもそも米国がウクライナでの大きな戦争に関わるべきだったのかについても、やや懐疑的です。

 実は金曜日〔2月27日〕、つまり3日前に、ヴァンス副大統領と話す機会がありました。

 ここで何を言うかは少し慎重にならないといけませんが、そのとき私はこう伝えました。米国としては、むしろ国内のいくつかの課題にもっと焦点を当てて、3年後、ヴァンス氏が大統領選に出るときに米国経済がしっかりした状態にあるようにすることの方が大事ではないか、と〉

ピーター・ティール氏 ©文藝春秋

宗教的力学を歴史の中心に据えるという点で、完全に一致

 ティール氏とヴァンス副大統領は、イラン攻撃に反対だったことが分かる。

 最先端テクノロジーの投資家であるピーター・ティール氏と、古い家族構造の専門家であるエマニュエル・トッド氏ほど、かけ離れた2人を想像することはできないだろう。にもかかわらず、2人は、宗教的力学を歴史の中心に据えるという点で、完全に一致した。

トッド 現代は「宗教のゼロ状態」が続いています。この状態が続くと個人は弱くなり、歴史は停滞する。