施術を受けなかった女性は「売春婦」と呼ばれ…

 実際に女子割礼/女性器切除を施術するのは女性たちですが、その施術自体を決定しているのは、村の長老や宗教的指導者、一家の家長である男性たちだとされます。医師の若杉なおみは、2004年に医学・医療・公衆衛生の観点からまとめた報告において、女性器切除が本人の意思によるものではなく、男性たちの判断によって決定されるものだと指摘しています。

 女子割礼/女性器切除を受けようとしない女性は、当該社会では「売春婦」と呼ばれて、結婚はまず期待できなくなると言います。家長である父親にとっては、家族の名誉が傷つけられるのです。そのため、女性には女子割礼/女性器切除を受けるようプレッシャーがかかります。なかには、その義務から逃れて、女子割礼/女性器切除を拒否しようとした娘を、陰ながらに援助しようとした母親もいます。自分の経験から娘にはその苦痛を味わってほしくないという母親が増えているとされます。

部族全体のアイデンティティに関わる女子割礼/女性器切除

 他方、父親が娘の女子割礼/女性器切除に反対したため、村の人々から非難された例もあります。父親は娘を守ろうとしましたが、女子割礼/女性器切除を受けさせようとする親戚の女性たちと激しく対立しました。

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 つまり、女子割礼/女性器切除は部族全体のアイデンティティに関わるものであり、男性と女性のそのどちらが主導なのかは一概に言えないものなのだとも考えられるのです。近年では伝統的産婆だけでなく、近代医療のトレーニングを受けた助産師や外科医が施術者を引き受け、衛生的な医療施設で女子割礼/女性器切除が行われる場合も増えています。

写真はイメージ ©︎AFLO
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