亀頭に穴を開け、木を差し込む――ボルネオ島のプナンに伝わる「ウトゥン・ニィー」と呼ばれるペニスへの施術だ。「女が気持ちいいと、男も気持ちいい」と語る男たちと、装着を夫に“リクエスト”する妻たち。離婚の理由にもなるというこの性具の実態を、フィールドワークをもとに明かす『人類学者が教える性の授業』(ハヤカワ新書)より一部抜粋してお届けする。
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痛みを伴うウトゥン・ニィーの施術
プナンにおけるペニス・ピン、すなわちウトゥン・ニィーについて具体的に見ていきたいと思います。
ウトゥン・ニィーは「ペニスに突き刺すもの」という意味であることからわかるように、亀頭に穴を開けて、その左右に脱着可能な横木をつけるスタイルがとられています。ウトゥン・ニィーの施術は、それに熟達した者によって行われますが、痛みを軽減するために早朝の涼しい時間帯に川に入り、術部を冷やし、なるべく人目に付かないように施されます。初日は、先端の尖った金属を、尿管を傷つけないようにして、亀頭に突き刺します。翌朝にはそれよりも大きな金属を刺し、2つのピンをつけられるほどの穴に広がるまで、およそ1週間、毎朝、同じ施術が繰り返されるのです。
プナンでは男性のうち、誰がウトゥン・ニィーの施術を受けて装着しているか、広く知れ渡っています。ウトゥン・ニィーの装着は私秘的に行われる一方で、それは公的な関心事でもあるのです。
