麻酔なし、使い回しのカミソリによる施術——アフリカなどで今も行われる女子割礼/女性器切除は、少女たちに想像を絶する苦痛を与える。それでも今も伝統が続いているのはなぜか『人類学者が教える性の授業』(ハヤカワ新書)より一部抜粋してお届けする。
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少女が「プレゼントがもらえるかも」とついていくと…
女子割礼/女性器切除を行う施術者の多くは、「伝統的産婆」と呼ばれる高齢の女性たちで、代々、出産介助とともに女子割礼/女性器切除を生業としている人々です。マリなどの西アフリカでは、男性による施術者も確認されています。施術の日には、母親や親戚の女性が、「今日は記念すべきお祝いの日だから」などと言って、少女を施術者のもとへと連れて行きます。少女は緊張と不安のなかで、「自分がほしいものがもらえるのかも」と期待を抱きますが、それは裏切られます。
女性たちによって手足を押さえつけられ、施術者によって、外陰部を切除されるのです。多くの場合には麻酔は使われず、得物にはカミソリの刃やハサミ、ガラス片などが用いられます。刃は洗うだけで同じものが繰り返し使われるため、保健衛生的な観点からも大きな問題とされます。
縫合する場合には、小さな穴が残るよう、木の枝などの異物を入れ、アカシアの棘などで縫い合わされます。消毒には、灰や生卵、ニンニク、薬草などが用いられます。施術後には足首から腰まで、両足を揃えてぐるぐる巻きにされ、排尿があるまで放置されるのです。
