「ウトゥン・ニィーをつけると、女が気持ちいい」

 では、プナンの男たちは、何をきっかけにウトゥン・ニィーをつけるようになるのでしょうか? 先ほども述べたように、ウトゥン・ニィーは射精することができる成人男性の勃起「アガック」が見られるようになって以降、性器に施される変工です。また、初めてセックスをするような若い男女の間では、ウトゥン・ニィーをつけたセックスはまず見られません。

 ある30代のプナン男性は、子どもがふたりできると、妻からウトゥン・ニィーをつけるようにと言われたが、自分はつけたくなかったので、「離婚」したと話してくれました。

 別の40代のプナン男性は、父と兄がつけていたため、20歳頃に自然とつけるようにしたと言います。また、「ウトゥン・ニィーをつけると、女が気持ちいい。女が気持ちいいと男も気持ちいい」とも語りました。

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 あるいは、現在の妻と「結婚」した際に、妻から前の夫がつけていたから、つけてほしいと言われたので、施術を受けたと語る50代のプナン男性もいます。

 私のフィールドワークでは、女性たちから直接、ウトゥン・ニィーについての意見を聞くことはできなかったため、データに偏りがあることは否めませんが、少なくとも男性たちのウトゥン・ニィーをつけるきっかけとなった見解を聞く限りでは、女性につけてほしいと請われて行うか、男性の家族がつけていたので自然とつけるようになるか、そのいずれかのようです。