ミラノ五輪の涙の銀メダルから世界選手権でのリベンジ金メダルへ。最高の形で現役を引退した女子フィギュアの女王の栄光の影には、幼少の頃から師事し“厳しめのママ”と慕う名コーチとの知られざる“冷戦”があった。
リンクに送り出した「第2の母」
日本時間3月28日、チェコ・プラハ「O2アリーナ」。彼女は4歳から立ち続けた氷を真っ直ぐに見つめていた。21年間の競技生活が、あと4分で幕を閉じる。背後には「第2の母」と慕うコーチがいる。
「私のために滑ってね」
人のためには滑れる子。すべてを知る“我が子”の背中を、いつものように2回、ポンポンと叩いてリンクに送り出した。
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女子フィギュアの女王・坂本花織(25)がラストダンスの舞台に選んだのは、世界選手権だった。
「今季現役引退を宣言して挑んだミラノ・コルティナ五輪では、ショートプログラムでノーミスの演技ながら2位。逆転を狙うフリーでは、5本目で予定していたフリップ、トーループの連続3回転ジャンプが単独となり減点。1位の米アリサ・リュウに僅か1.89点及ばず、金メダルを逃した」(スポーツ紙記者)
演技を終え、大粒の涙をこぼした坂本。母国へ降り立つ頃には腹を決めていた。
「やりきったと思いたい」
1カ月後の完全燃焼を誓ったのだ。
これ以上クオリティは高められないほど完璧
「世界選手権のショートプログラムでは79.31点と今季最高得点で首位発進。フリーでも自己ベストを叩き出した。トータルでも自己最高得点238.28を獲得し、4度目の優勝を果たした。浅田真央の通算3度を抜く日本勢単独最多優勝の偉業を達成し有終の美を飾った」(前出・記者)
スポーツライターの野口美惠氏が振り返る。
「引退試合で自己ベストを出せるなんて。それも五輪の直後に万全のコンディションを整えるのは並大抵の努力ではありません。スピード、リンクの全面を使うダイナミックな演技、ディープなエッジ……オール10点をつけるジャッジもいましたが、これ以上クオリティは高められないほど完璧。間違いなく、坂本花織史上最高の演技でした」
3大会連続五輪出場、世界選手権4度制覇、全日本選手権6度制覇。人見知りの女の子が氷上の女王になるまでには、リンクも凍てつく恩師との“冷戦”があった――。
《この続きでは、▶︎互いに目も合わさない中野園子コーチとの壮絶バトル、▶︎「力が出し切れるか…」親友が明かすミラノ五輪の重圧など恩師や親友との秘話を詳しく報じている。記事の全文は現在配信中の「週刊文春 電子版」および4月2日(木)発売の「週刊文春」で読むことできる》

