鳥飼 私も最近はフェミニストと言われるのも、いったん受け入れてもいいかなと思えるようになりました。違うと思う時には「違う」と言えばいい。でも荘子さんの年代だと、まだ何かのカテゴリーに入れられたくないという抵抗感があるのもわかります。

金城 それでも女性の権利を考えることは何もダサいことじゃないじゃない?

鳥飼 外に対しては別のフラットな語り方でもいいけれど、一緒に暮らしている人間にはそんなの関係なくピュアな内面の良さで勝負してほしいよね。

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修繕し続ける関係と、オープンにする強さ

鳥飼 ところで私がこの本を書いて一番感じたのは、結婚生活のさなかの、喧嘩や揉め事を赤裸々にでもオープンにすることの大切さについて。

 自分たちの状況を「見える化」して外に出して、人に助けを求めることができれば、解決に少しでも近づけるかもしれないなと、不祥事を隠しがちな日本の企業体質なんかを考えてみても思うんですよね。荘子さんと金城さんの関係を傍で見ていると、壊れたり軋んだりする部分をその都度「修繕」しながら、自分たちの関係を構築し直している感じがします。

金城 今も週の半分くらいは一緒にいるけど、今年に入って別居生活を始めたんですね。

荘子it  日々の生活上のトラブルから喧嘩に発展してしまうことが多く、なんとかしたいけど、前は別居したらそれこそもっと関係が悪くなってしまうと思っていたんです。似たような理由で別居という方法は試さず、先日いきなり離婚の選択をして後悔している人の話も聞いたりしたから、今は物理的にいったん距離を置いてみるのを試しています。

金城 それはとりあえず、今日明日の生活を平穏に過ごすためです。

鳥飼 そのときに私が特に素晴らしいなと思うのは、二人の間で起きているままならないプロセスを金城さんが完全に閉じた状態にせず、「困っている」と外に向かって話せること。これは金城さんの強さですよね。ただ、そこで気になるのは荘子さん側の視点です。こうして内側を晒すことへの抵抗感はありますか? あと何かカウンセリングに行くなり、誰かに相談することはあるのかどうか。私の息子にしても、病院に行ったり人に話すのを嫌がるところがあるから。

荘子it 僕もそうだけど、男性は一般的に不調をそのまま相談するよりも、不調な時にも元気な部分を認め合うことで回復したい、という傾向があるのかもしれない。その方が気は楽なんですよね。でも、それで問題をペンディングし続けると、根本的な歪みが改善しないままだから、やはり意識的に相談はしたほうがいい。

©Unsplash

「ケアの香り」がきっかけで「バッドに入る」

荘子it 最近、ケアの大事さは理解しているつもりなんです。でも、日常にケアの香りが漂ってくると、逆にしんどくなることがある。今自分の辛いところに誰かが優しく介入してきているな、と感じるだけで、それがきっかけで「バッドに入る(ひどく落ち込む)」サイクルに入ってしまうというか。

鳥飼 介入されること自体が、負のスイッチになってしまう?