入浴中に手桶で殴られ、額に傷が残っている
熱さと痛みと恐怖で涙が出そうになる。頰の内側を嚙んで目を見開く。まばたきをしてしまうと涙がこぼれる。涙を見せると母の怒りが再燃してしまう。今夜は眠りたい。
制服を脱ぐ。母の目を盗んで全身鏡に背中を映してみる。赤黒かったり青紫だったりの細長い痣が広がっている。
やっと前のが消えかかってたのに。
脱いだ制服をハンガーにかけようと腕を伸ばすと、背中がずきりと痛む。
また何日間か寝返りを打つたびに痛いんだろうな。嫌だな。嫌だなあ……。
視界がぼやける。
思うような得点を挙げられていなければ、このような罰を受ける。はじめは掃除機のパイプだったが、殴打を繰り返すうちにパイプにヒビが入ってしまい、罰のために使われる棒は洋服ダンスの鉄パイプに替わった。
入浴中に、手桶で殴られたこともあった。あかりの左の額には、いまも1.5センチほどの傷が残っているが、これは母に手桶で殴られたことによるものだという。
家出というSOS
このころ、あかりは二度にわたって家出を試みている。あかりの通っていた高校の教師が法廷で証言したところによると、一度目は高校3年の7月末の夏休みに入ったばかりの時期で、突然教師の自宅に訪ねてきた。
この教師はあかりのクラスの担任ではなかったが、高校2年のときに古典の授業を受け持ち、3年生のときには受験対策の個別指導の講座で国語を教えていた。読書好き、国語好きのあかりにとって、自分の気持ちを分かってくれている存在と思えたのが、この男性教師だった。教師の自宅の住所は、学校にあった名簿を見て知った。
このとき、教師はあかりを説得してその日のうちに帰宅させている。
さらにあかりはほどなく二度目の家出を実行した。
夏休み中の8月下旬、再びあかりが教師の自宅を訪ねてきた。旅行から帰ってきたばかりの母と大喧嘩になり、家を飛び出してきたという。母の不在中、つかの間の「自由」を楽しんでいたあかりは、また同じ監視下の毎日が始まることに絶望し、突発的に家出を図ったのだ。
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