2018年3月、滋賀県守山市の河川敷で、頭部や手足のない女性の遺体が発見された。遺体は近くに住む58歳の母親で、同居する娘・あかりが死体遺棄などの容疑で逮捕され、その後殺人罪でも起訴された。9年間浪人し医学部を目指していた娘と母の異常なほど密接な関係の裏に何があったのか。

 2022年の刊行から累計22万部を突破した話題作、獄中の娘との書簡をもとに描いたノンフィクション『母という呪縛 娘という牢獄』(著=齊藤彩、講談社文庫)より一部を抜粋して紹介する。(全6回の6回目/1回目から読む)

写真はイメージ ©Faustostock/イメージマート

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「温かい言葉をかけていただいたのが、すごくありがたかった」大津裁判所で判決を聞いた時の心境

──大津の裁判所で、大西裁判長から判決の宣告を受けて、あなたどう思った。

「自分としてはバラバラにして燃えるゴミとして出せるものは出して、河川敷に遺棄してバレないようにして、直接的な殺害の証拠というのは隠滅したつもりでいたんですけれども、殺害したことがちゃんと認定されただけじゃなくて、その殺害に至るまでの、私の長年の、私と母の確執を事細かに、まるでずっと私の横にいたかのように認定されてるのが、すごく精緻(せいち)に認定されてて、理解されるんやな、理解されてるなっていうこと、殺す前の逡巡(しゅんじゅん)とかも読み上げてるのを聞いて、殺そうって考えてるところとかも、何かカメラで撮られてたんかなと思うぐらい、すごく精緻な分析がされてたのと、あとは、噓をつきつづけている私に対して、大西裁判長は、『あなたはいままでお母さんに敷かれたレールを歩まされてきたけれども、これからは真摯(しんし)に罪と向き合って、罪を償い終えた後は、あなた自身の人生を歩んでください』っていう温かい説諭をしてくださったのを聞いて、他人であっても、私が噓をついても、私が母との苦しみであったり、そういったことが理解されるんだなっていうことが分かりました」

──あなたとお母さんの関係を理解してくれる人なんていないと思ってたのか。

「はい。いないと思ってたんですけど、それが間違いで、で、私はずっと母が自殺したと噓をついているのにもかかわらず、そういう温かい言葉をかけていただいたのが、すごくありがたかったです」