想像以上の屈辱だった拘置所への入所手続き
地検のワゴン車は、夜の街を走り、やがて高い塀に囲まれた施設に入っていった。車から降ろされ、夜間の通用口から建物へ誘導される。川村検事と事務官が、施設の職員と話しはじめた。どうやらここが、横浜拘置支所らしい。
私を拘置所の職員に引きわたすと、川村検事たちは帰っていった。私は広い部屋へ連れてゆかれ、「ここで入所の手続をします」と告げられた。
入所の手続では、まず氏名と持病を確認され、淡々と番号を呼ばれる。10本の指の指紋と掌紋まで採られ、正面・横・斜めから写真を撮られる。その後、「靴と服をすべて脱いで」と言われた。
上着、ワイシャツからスラックス、靴と靴下、下着まで、1枚ずつ脱いでゆく。裸になったまま、職員に体の正面、左右、そして背中側を見せてゆく。職員が懐中電灯で体を照らす。傷や入れ墨、異物の有無を確認するのだという。口を開けて舌の裏を見せるほか、陰部と肛門までチェックされた。
言葉づかいは丁寧だけれど、容赦なく羞恥心がかき立てられる。人として見られているというより、確認すべき物として、私の体が扱われている感覚だった。冷たいリノリウムの床の感触が、心の奥まで冷やしていく。話には聴いていたけれど、実際に経験すると、屈辱感は想像以上だった。
明日に備えて…
「ついに自分は、塀の中の人になってしまったのだ」
という現実を突きつけられ、苦々しい思いが胸にしみわたってゆく。その後、独房へ連れてゆかれた。ひどく狭く、天井も低い。
「この部屋、監視カメラが付いてるから、変なことはしないようにね」
と言いのこし、看守は去っていった。
腕時計はとり上げられ、時間の感覚は曖昧だけれど、おそらく夜の11時を過ぎているだろう。逮捕からここまで、はじめてのことばかりで、心はまだ興奮でざわめいている。
「それでも、明日に備えて、早く寝なければ」
私は布団を敷き、わずかでも眠ろうと目を閉じた。明日から取調べが始まる。このときはまだ、取調べがあのような長時間に及び、罵声と侮辱にさらされることになるとは、思いもしなかった。
